犬猫の寄生虫「回虫」が人間に寄生するとどうなる?

2018/6/13 記事改定日: 2019/4/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「回虫」という寄生虫をご存知でしょうか?犬猫などの哺乳類が持っていることの多い寄生虫で、人間に寄生するとさまざまな症状を引き起こすといわれています。今回はその回虫による症状や、人間への感染ルートについてご紹介します。

「回虫」ってどんな寄生虫?

回虫とは、人間や犬、猫などの体内で生息していることのある寄生虫の一種です。人間の回虫の場合は体長30cmほど、犬の回虫では15cmほどと大型の寄生虫ではありますが、普段は小腸内で栄養分をもらって生きているだけなので、大きさの割には実害が少ないといわれています。

ただし、犬や猫の体内に住んでいた回虫が誤って人間の体内に取り込まれてしまうと、「幼虫移行症」を発症し、臓器や目などに病変をもたらす恐れがあります。

犬猫の寄生虫「回虫」が人間に感染するルートは?

回虫は犬や猫、牛、豚、馬、イタチ、熊など多くの哺乳類が保有している寄生虫で、これらの動物の糞便中に回虫の卵が含まれていることがあります。そして人間がこの卵を口に入れると、お腹の中で孵化して成虫となり、諸症状を引き起こすようになります。

具体的には、ガーデニングや畑作業などで土いじりをしたり、砂場で遊んだりした後で、手や収穫物を十分に洗わないまま食事をとったりすると、回虫の卵をとりこむ可能性があります。
またこの他にも、ニワトリなどのレバーを生で食べたときに感染するケースも報告されています(ニワトリの肝臓に回虫が潜んでいた場合)。

「回虫」が人間に寄生したときの症状は?

回虫が人間に寄生した場合の症状は、目に移行した場合と内臓に移行した場合とで次のように異なります。

目の症状(眼移行型)

  • 網膜脈絡炎
  • ブドウ膜炎
  • 網膜内腫瘤
  • 網膜剥離
  • 視力低下
  • 飛蚊症
  • 失明

脳、肺、肝臓の症状(内臓移行型)

脳に寄生した場合はてんかん発作、肺に寄生した場合は咳や喘鳴、肝臓に寄生した場合は肝機能障害や食欲低下、倦怠感などの症状を引き起こすといわれています。

回虫に寄生されたら、どうやって治療するの?

回虫に寄生されていることが分かった場合には、アルベンダゾールやメベンダゾールなど寄生虫駆除薬の内服治療が行われます。これらの薬剤は、回虫の増殖を防ぐ作用が強いため多くは内服治療を行えば完治します。
しかし、中には腸閉塞や胆道閉塞を引き起こし、手術や内視鏡による病変の切除を行う必要があるケースもあります。

おわりに:人間の体内の回虫を駆除する方法は確立されていない。徹底した感染予防を

人間の体内に入ってしまった回虫を駆除する治療法は、確立されていないのが現状です。感染しないことを第一に、土や砂、動物を触った後はしっかり手洗いやうがいをしたり、飼っているペットに駆虫薬を飲ませたりして、感染予防に努めましょう。

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