血圧が高いと脳梗塞になりやすいの?

2018/6/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高血圧は、様々な病気を引き起こすリスクファクターですが、脳梗塞の原因にもなることを知っていますか。
この記事では、高血圧が脳梗塞を引き起こすメカニズムと、高血圧の予防対策について説明しています。高血圧も脳梗塞も、毎日の生活が発症リスクに関わってくるので、この機会に生活習慣を見直しましょう。

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血圧が高いと脳梗塞になりやすいの?

血圧とは、心臓から血液が押し出されたときに血管の壁へかかる圧力のことです。よく言われる「血圧が高い」というのは、血管や心臓に強い圧がかかっていることであり、このとき血管の壁はダメージを受けていることになります。長く続くと血管のダメージが蓄積して動脈硬化が進み、血流が乱れたり血栓(血のかたまり)ができやすくなります。

脳梗塞は、脳に続く血管が細くなったり、血栓が詰まったりすることで起こるため、高血圧の人はそうでない人よりも脳梗塞のリスクが高まると考えられるでしょう。高血圧は脳梗塞だけでなく、血管が切れてしまう脳出血のリスクを高めたり、心臓へ悪影響を与える可能性もあるので、血圧が高めという人は今のうちに対策をとることをおすすめします。

脳梗塞予防のために維持したい血圧の基準値は?

高血圧を改善・予防するには、血圧が目標基準値を超えないように生活習慣等を見直すことが奨励されています。
この目標値は年齢や持病の有無によって変わってくるうえ、国によっても違いがあり、日本高血圧学会が発表する「高血圧治療ガイドライン」も随時更新されています。

このような変動があることは前提としつつも、まず目標としたい値は

上の血圧(収縮期血圧) → 140 mmHg未満
下の血圧(拡張期血圧) → 90mmHg未満

とされています。とくに加齢によるさまざまな影響が気になり始める40~60代の人は、持病がない場合もこの数値を目標しましょう。ちなみに世界保健機構(WHO)の基準でも、この数値までが正常血圧とされています。

30代までの人であれば

上の血圧(収縮期血圧) → 130mmHg未満
下の血圧(拡張期血圧) → 85mmHg未満

75歳以上であれば

上の血圧(収縮期血圧) → 150mmHg未満
下の血圧(拡張期血圧) → 90mmHg未満

を目標値にしましょう。

ただし、糖尿病、腎臓病、心筋梗塞の持病がある人は、発症リスクが高いことをふまえ

上の血圧(収縮期血圧) → 130mmHg未満
下の血圧(拡張期血圧) → 85mmHg未満

を目標値にするようにすすめられているので、注意してください。また、以前に脳卒中やラクナ梗塞(脳の細い血管が詰まって起こる脳梗塞)を起こしたことがある人も、低めの血圧を目標にする必要があります。太い血管が詰まって起こるアテローム血栓性脳梗塞の経験者の場合は一般の人と同じく140/90 mmHgが目標値となりますが、血圧の目標値に関しては必ず担当医に確認を摂るようにしてください。

血圧を下げて脳梗塞を予防しよう!

高血圧は血圧を下げる薬(降圧剤)などで治療できますが、薬に頼りきるのではなく生活習慣の改善もあわせて対策をしていく必要があります。
生活習慣の中でも、特に重要になってくるが食事と運動です。

食事

高血圧の食事療法として、日本人が真っ先に取り組んだ方がいいといわれているのは減塩です。日本人は、味噌汁や漬物など、しょっぱいものを好むため、一日当たり13gほどの塩分を摂取しているといわれています。
理想としてはこの半分の6~7gほどに摂取量を抑えた方が良いとされています。最近は減塩味噌や減塩醤油なども販売されているので、うまく使いながら塩分量を抑えるようにしてください。
また、動脈硬化を予防するためにのコレステロール管理も大切です。スナック菓子や甘い物、インスタント食品、揚げ物や肉の脂身などを控え、食物繊維を多く含む野菜やキノコ、海藻類や、青背の魚などを食べるようにしましょう。

運動

運動療法では、有酸素運動が推奨されています。ウォーキングや水泳など、息が少し切れる程度(はあはあとする程度)の激しすぎない運動を長時間続けることが大切です。なるべく毎日、30分以上運動をすることが推奨されていますが、30分運動し続ける必要はなく、10分以上の運動を合計して1日30分でもかまわないとされているので、通勤中や休み時間などを利用して取り組んでいきましょう。

おわりに:脳梗塞のリスクを下げるためにも、まずは高血圧対策を!

高血圧が続くと、血管や心臓にかかる負担が大きくなり、血管の壁がダメージを受け、血流が乱れたり血栓ができやすります。そして、脳梗塞は、脳に続く血管が細くなったり、血栓が詰まったりすることで起こるため、高血圧の人はそうでない人よりも脳梗塞のリスクも高まります。持病などがない人は、140 /90 mmHgの一般的な目標値を超えないよう、運動や食事などの生活習慣を見直しましょう。

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