貧血でめまいが起こるのはなぜ?めまいと立ちくらみとの違いは?

2018/6/13 記事改定日: 2019/2/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

貧血の代表的な症状はめまいや吐き気です。貧血になるとどうしてめまいが起こってしまうのでしょうか。
この記事では、貧血でめまいが起こるメカニズムについて説明しています。めまいが続くときの原因や対処法についても紹介しているので参考にしてください。

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貧血でめまいになることはある?

貧血とは体内の末梢組織に十分な酸素を運ぶだけの赤血球の量が維持できていない状態と定義され、血液を構成する成分である赤血球やヘモグロビンが減少することによって身体が酸素不足になって起こります。

ヒトの身体は酸素と栄養をエネルギー源としているため、酸素が不足すると動悸や息切れ、頭痛や倦怠感、めまいといったさまざまな症状が出現します。
めまいと貧血はあまり関係のない症状のように思われがちですが実は密接な関係があるのです。

めまいと立ちくらみ

立ちくらみとは、立ち上がった瞬間や長時間の立位時に生じるめまいのことであり、めまいの症状の一つと考えられています。
立ちくらみは、一時的に脳の血流が低下することによって発症します。

人の血液は重力の働きに従って立っているときに足の方に流れていきやすくなります。自律神経が血管収縮や心拍数を調節して、重力の働きに逆らって脳への十分な血流量を維持する仕組みが働いていますが、何らかの原因でこの仕組みが上手く働かなくなるのが「起立性低血圧」(脳貧血)と呼ばれる病気で、脳への血流量が低下することで立ちくらみを引き起こします。

貧血でめまいと吐き気が同時に起こることもある?

貧血の代表的な症状のひとつに吐き気があります。
貧血で吐き気が起こるのは、必要な酸素と栄養が内臓に送られなくなってしまうことで胃腸の機能が低下するからと考えられています。

また、脳への酸素供給量の低下で起こる頭痛の症状のひとつとして吐き気が現れることもあります。
他にも生理や妊娠、腎臓の病気などで貧血症状と吐き気が同時に出現することもあります。

また、貧血の治療をすでに開始している場合は、治療薬として内服している鉄剤の副作用で吐き気が生じることもあります。

めまいの原因は貧血以外の病気が原因のことも・・・

吐き気を伴うめまいの原因は、貧血だけではありません。めまいや吐き気に加えて耳鳴りや難聴などといった症状がある場合にはメニエール病や突発性難聴の可能性があります。

また、耳鳴りや難聴が伴わない場合であっても良性発作性頭位めまいという病気の可能性があります。
特にメニエール病や突発性難聴は早めに治療を始めないと、難聴や耳鳴りなどの症状がずっと残ってしまう恐れもあるのです。

めまいや耳鳴りがして内科を受診したが貧血のデータは問題なかったため治療が遅れたという事例もあるといわれています。発作の頻度には個人差があると思いますが、めまいや吐き気を何度か繰り返している場合は早急に耳鼻咽喉科など専門的な病院を受診して適切な処置を受けるようにしましょう。

おわりに:めまいが起きたときが放っておかずに早期の治療を

貧血は、赤血球やヘモグロビンが減少することで体内の臓器が酸素、栄養不足になって吐き気やめまいが起こる病気です。ただし、同じ吐き気やめまいでも、耳鳴りや難聴を伴う場合にはメニエール病や突発性難聴といった他の病気が原因になっていることがあります。
めまいが持続する、改善しないという場合には早めに医療機関を受診して適切な医療処置を受けるようにしましょう。

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