記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
てんかんの症状の一つに、睡眠時に現れる睡眠てんかんというものがありますが、この睡眠てんかんは治るものなのでしょうか。また、どんな症状が特徴なのでしょうか。
睡眠時に起こるてんかん発作は、入眠後すぐまたは覚醒時に発症することが多いとされ、1~2分間症状が続きます。発作の多くはけいれん発作で、生活習慣の改善や薬物治療による治療で改善が見込めますが、効果が見られなかった場合は手術を行うことがあります。
不規則な生活のままでは、服薬治療の効果が減ってしまうため、決まった時間の就寝・起床、睡眠不足・疲労蓄積などの解消が必要になります。
また、睡眠中に発作が起こったときに怪我をしないように、寝室内の危険物を排除したり、ベッドからの転落などを防ぐ工夫もしましょう。
抗てんかん薬には、脳の神経細胞のによる興奮作用を抑制する働きがあり、患者さんの7~8割は服薬により発作をコントロールできるようになります。
ただし、発作が一時的になくなっても自己判断で服薬を中断しないようにしましょう。抗てんかん薬は最後に発作が起きてから2~4年、脳波検査で異常がないと確認されてから最低2年間は、服薬を継続する必要があります。
主な副作用として、眠気やふらつきがあり、特に服薬を開始したばかりの頃は症状が強く出やすいとされています。そのため、自動車の運転や高所での作業などの危険を伴う行為はなるべく控えましょう。
睡眠てんかんの発作では、手足の大きな動作の他にも、以下のような症状が現れることがあります。
睡眠てんかんは、発作の症状が類似しているため、睡眠時遊行症・レム睡眠行動障害・夜驚症・睡眠時無呼吸症候群などと間違って診断されることがあります。
誤診を防ぐためには、睡眠障害専門の病院を受診して、終夜睡眠ポリグラフ検査によるてんかん発作時の異常脳波の有無を調べる必要があります。
入眠時ミオクローヌス発作は、全身または手足の一部分の筋肉が瞬間的に収縮する症状で、どんな人でも起こることのある一時的な症状です。一瞬の症状のため本人にも自覚がないことが多いですが、連続して症状が発生したり、転倒する、持ち物を投げ飛ばすなどの強い症状が起こることもあります。寝起きや寝入りに発生することが多いとされています。
てんかん発作時の脳波異常が認められず、ミオクローヌス症状だけが確認される場合は、てんかんで発作である確率は低いです。また、健康な人で疲労時にまぶたや手足の筋肉の一部が震える場合は、線維束性収縮(運動神経や脊髄の運動神経細胞に障害が起きたことで、筋肉が細かく痙攣するように動くこと)の可能性が高く、てんかん発作ではありません。
これらのことを行っても改善されない場合は、医療機関を受診すれば処方薬をもらうことも可能です。一般的には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬のクロナゼパムやジアゼパムなどがよく用いられます。医師と相談しながら、症状改善に取り組みましょう。
睡眠中に起こるてんかん発作は、本人よりも寝室をともにするご家族などが気づくことも多い症状です。疑わしい症状が見られたら、すぐに専門外来を受診し、検査を受けるようにしましょう。