痔の痛みを回避したい!排便時や座り方のコツを教えます

2018/6/13

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

痔を持っている方にとっては、憂鬱で仕方ないのが排便の瞬間。肛門付近が裂けたり、いぼが刺激されたりしたときの痛みは、なんとか回避したいものですよね。今回はそんな痔でお悩みの方々に向けて、痛みを和らげる排便時のコツや座るときの注意点についてお伝えしていきます。

排便時の痔の痛みを軽くするには?

痔の症状が辛い人にとって、毎日の排便は痛みへの恐怖を感じる時間です。中には無意識に我慢して、便秘になってしまい、さらに痔を悪化させている人もいるかもしれません。

少しでも痔の痛みを減らして排便するには、毎日の排便をスムーズにしていく工夫が必要です。以下のポイントを心がけてみましょう。

便秘を予防する
便は腸の中に長くいるほど水分が吸収されて固くなり、排便時に痛みを感じやすくなってしまいます。まず、便意が起きたら我慢せずに、トイレに行くようにしましょう。また、食物繊維が含まれた食材をバランスよくとり、水分の摂取を心がけたり、適度な運動をしたりと便秘を予防することも大切です。
肛門周囲を柔らかくしておく
肛門周囲の皮膚や筋肉を動きやすくするために、浴槽にゆっくり浸かったりして身体を温めるようにしましょう。冷房による冷えには要注意です。
姿勢を工夫する
排便の姿勢は、和式での排便姿勢のほうが良いという報告があります。和式トイレでしゃがんだ姿勢では、やや前かがみで直腸から肛門までのラインもまっすぐになり、両足を広げていることで肛門が開いている状態が自然につくられます。現代は洋式トイレの住宅が主流にはなっていますが、外出先などで機会があれば試してみても良いかもしれません。また、最近では、排便がスムーズになるように姿勢を整えるグッズも販売されています。

痔の痛みを回避する座り方はある?

痔の痛みがひどいときには、患部を長時間圧迫することは避けたいものです。座る必要があるときはドーナツ型のクッションや、低反発素材のビーズを使ったクッションを対策グッズとして用いると良いでしょう。

またデスクワークや運転中はときどき時間を区切って、立ち上がる時間をつくりましょう。特に、バイクや自転車のサドルはお尻にとって大きな負担になるため、できるだけ避けるほうが良いでしょう。

痛い痔ができちゃった原因は?

痔には「いぼ痔」「切れ痔」「痔瘻」の3種類がありますが、男女ともに半数を占めるのがいぼ痔です。切れ痔は女性に多く、痔瘻は男性に多くみられます。いぼ痔は、その名の通り、いぼのように腫れ上がる痔で、切れ痔は肛門の皮ふが切れてしまう痔です。痔瘻は、何らかの感染で膿が溜まったり、膿が出てきたりする痔です。

特に、排便習慣の乱れはすべての痔の原因となります。特に女性では便秘が要因となることが多いでしょう。便意を我慢したり、ストレスをためることも便秘の要因になります。また、妊娠中や妊娠後にも便秘によって痔になりやすい傾向があります。

一方男性では、便秘や下痢といった便通異常に加えて、仕事で座っている時間が長くなりがちなことや、精神的なストレスも影響しているようです。慢性的な便秘や下痢は痔の原因になるだけではなく、症状を悪化させることにもつながります。痔の治療には薬物療法や手術での治療がありますが、便秘や下痢を解消するための生活習慣の見直しも欠かせません。

おわりに:痔は、自己流よりも医師に相談してから対策をとろう

さまざまな原因で生じる痔は、なかなか他人に相談できない症状のひとつです。我慢を続けたり、自己流の対策を続けたりして痛みが強くなった痔は、排便への恐怖感を生み、さらに排便が難しくなってしまうという悪循環を生むこともあります。医療機関で適切な治療を受けることはもちろんですが、排便習慣や痔になりやすい習慣を見直し、痔の改善につなげていきましょう。

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