記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/23
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
肉はたんぱく質、ビタミン、ミネラルを豊富に含んだ食品ですが、肉の選び方を間違えてしまうと、脂肪分を摂りすぎてコレステロール値を上昇させたり、大腸がんのリスクを高めてしまう可能性があります。また、肉には細菌が付いている可能性もあるため、調理時にしっかり火を通さないと食中毒を招く可能性があります。ここでは、健康的な肉を選ぶときのポイントや保存方法、調理時のコツなどをご紹介します。
肉を買うときは、脂肪が少ないものを選びます。霜降り肉など、白っぽい部分が多い肉は脂肪分が多いので、できるだけ赤身が多いものを選びましょう(赤身のランプステーキの脂肪量は、脂肪分を含むサーロインステーキの約半分です)。また、鶏肉を買うときは、なるべく皮がついていないものを選んでください。
細菌の拡散を防ぐとともに、食中毒を避けるため、以下のような点に気をつけて肉を安全に保存して調理することが重要です。
・生肉を清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫の一番下の棚に保存する(ほかの食べ物に触れたり、肉汁がたれたりすることを防ぐ)
・食品ラベルの保存方法に従う
・賞味期限を過ぎた肉は食べない
・生肉に触ったら、プレートや食器、表面、手などをすぐに洗い、細菌の拡散を防ぐ
・調理した肉と生肉は分けておく
以下に、生肉を安全に冷凍するためのコツをご紹介します。
・賞味期限までに冷凍する
・冷凍・解凍する際は、食品ラベルの指示に従う
・電子レンジで肉を解凍したらすぐに調理する
・解凍後、しばらく経ってから調理する時は、冷蔵庫で解凍する
・解凍後、2日以内に調理する
・食べ物にしっかり火を通す
肉を解凍すると、赤い液体が出てきます。この液体がほかの食品や食器、作業台などにつくと細菌が広がります。肉は密閉容器に入れて冷蔵庫の一番下の棚に置き、ほかの食品に触れないようにしてください。
調理する前に肉を洗うと、その水が作業台に飛び散って細菌が広がる可能性があります。食中毒のリスクが高くなるので、肉は洗わないでください。
また、肉には火を通しましょう。肉を正しく調理すれば、有害な細菌を確実に取り除くことができます。
肉の種類によっては、細菌やウイルスがまんべんなく肉にいることがあります。このタイプの肉は、しっかり中まで火を通す必要があります。中までしっかり火が通ったかどうかを見分けるコツは、肉汁が透明になっていることと、中を切って見てもピンクや赤色の部分がないことです。
中まで火を通す必要がある肉は、下記の通りです。
・鶏肉
・豚肉
・肝臓などの臓物
・関節
・巻かれた肉の切り身
なお、牛肉の切り身は肉の外側にだけ細菌が付いているので、たとえ内部がピンク色でも問題なく食べられます。
肉の中には脂肪、特に飽和脂肪酸が多いものがあります。飽和脂肪酸を摂りすぎてしまうと、血中のコレステロール値が上昇し、心臓疾患を発症するリスクが高くなります。このため、肉の選び方や調理方法で工夫する必要があります。
まず調理前に、豚のロース肉や鶏肉の皮など、見た目ですぐにわかる脂肪分は取り除きましょう。脂肪を切り落としたあとに焼いた豚肉に含まれる脂肪の量は、脂肪を切り落とさずに焼いたものの約3分の1にまで少なくなります。
調理する際は、以下のような方法で脂肪分を減らしてください。
・肉は、揚げるのではなく焼く
グリルした皮なしの鶏の胸肉の脂肪分は、パン粉で揚げた鶏の胸肉の脂肪分は約6分の1にまで少なくなります。
・肉を調理するときは、余分な油脂を加えない
・脂肪を落とすために、ロースト用の網に乗せて焼く
・シチュー、カレー、キャセロールなどの料理では、肉を少なめにして野菜、豆類、デンプン質の食品を多くする
肉にはビタミンB12が豊富に含まれていますし、赤身の肉には鉄分を含んでいます。このため、赤身の多い健康的な肉を選べば、健康的でバランスの取れた食生活を送ることができます。でも、たまには霜降りの柔らかい肉も食べたいですよね。そんなときは、肉の周りについている脂肪を切り落としたり、網に乗せて脂肪分を落としたりして、脂肪分を摂り過ぎないように工夫しましょう。