記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/14 記事改定日: 2018/8/10
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「いぼ痔=痛い」というイメージがあるかもしれませんが、実は痛みを感じないいぼ痔も存在するのです。今回はそんな「痛くない」いぼ痔の症状の特徴や、治療法について詳しくご紹介していきます。
病院に行った方がいい目安も紹介しているので、参考にしてください。
便をした後、特に痛みはないのにトイレットペーパーに血がついたり、便器が血がついていたという経験はありませんか。いぼ痔というと痛いというイメージがあるかもしれませんが、出血をしていても痛みを感じない痔があるのです。これを内痔核(ないじかく)といい、肛門の内側にできます。
特に内痔核は自覚症状が乏しく、出血をして初めて気づくことがあります。これは、肛門の内側の粘膜部は痛みを感じる神経が通っておらず、表面が切れても痛みを感じることがないためです。鮮やかな赤い血が大量に出ることもあり、ショックを受けてしまう人もいるでしょう。
いぼ痔は、肛門の周辺にいぼのように腫れ物ができる痔です。このうち肛門の外側にできるものを外痔核(がいじかく)、内側にできるものを内痔核といいます。
いぼ痔は、肛門の周囲の血流が悪くなってうっ血し腫れることで起こると考えられていました。しかし最近では、肛門のまわりにある筋肉や毛細血管が集まったクッションのような部位の、弾力性が弱まることが原因とも考えられています。また、排便習慣や生活習慣、仕事の習慣なども関係していると考えられます。
一方、外痔核は肛門の外側にできるため、痛みを感じます。
痔の症状の改善には、状態に合わせて内服薬や軟膏、座薬といった薬物療法や、手術といった方法があります。ただし、いずれにしても生活習慣の改善が欠かせません。
痔の要因としては、排便習慣や生活習慣が関係しているといわれます。同じ生活習慣を続けていれば、別の部位で痔がつくられる可能性もあるため、お尻にかかる負担を緩和することが大切です。
痛みがない内痔核は放置すると知らない間に進行して、脱肛に至ることもあるので注意が必要です。
内痔核の初期症状は、排便時の違和感や肛門のむずがゆさなどです。症状を自覚しない人も多く、この状態で病院を受診することは稀でしょう。この段階から進行すると、内痔核が徐々に大きくなり、排便時のいきみと共に肛門の外へ脱出するといった症状が現れます。しかし、排便後は自然に肛門内に戻ることが多く、痛みもないため発症に気づかない人も多いとされています。
そして、さらに内痔核が大きくなると、排便時以外にも肛門から内痔核が脱出するようになって痛みを伴い始め、やがて常に内痔核が脱出した「脱肛」という状態に進行します。脱肛の状態に進行すると、常に痛みや違和感が生じ、脱出した内痔核が肛門括約筋に締め付けられてうっ血を生じ、非常に激しい痛みや腫れが急激に生じて座ることが困難になるケースも少なくありません。
このような状態にまで進行すると、手術が必要となりますので、何らかの症状を自覚したときは早めに病院を受診し、脱肛に進行しないように心がけましょう。
病院に行くべき目安としては、市販薬を使用しても痛みが改善しない場合や、常にいぼ痔が肛門の外に出ている場合、出血を繰り返す場合、急激にいぼ痔が大きくなって強い痛みが生じた場合などが挙げられます。
いぼ痔のうち、肛門の奥にできる内痔核は痛みをほとんど感じないといわれています。内痔核に対しては薬物療法や手術のほか、アルタ注射療法(ジオン注射療法)といった治療が行われますが、そもそもの発症原因となる排便習慣や生活習慣の見直しは欠かせません。症状の悪化を防ぐためにも、現在の習慣を見直し、できるところから改善していきましょう。