肝硬変の治療で使われる薬にはどんなものがある?

2018/6/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

慢性肝炎の長期化によって肝臓が硬くなってしまう「肝硬変」。この肝硬変の治療方法の一つに薬物療法がありますが、具体的にどんな薬が使われるのでしょうか?代表的なものをご紹介していきます。

肝硬変は薬で治療できるの?

肝硬変とは、慢性肝炎によって肝臓の炎症が長年続き、肝細胞の壊死と再生が繰り返されたことで、傷を修復するときにできる「線維(コラーゲン)」が肝臓全体に広がり、肝臓が硬くなった病態です。

一度硬くなった肝臓は元には戻らないので、その点では肝硬変の根本的な治療薬は存在しません。ただ、肝硬変による合併症の治療や、肝臓の負担の軽減という目的では薬の投与が有効です。

肝硬変の治療で使われる薬とは?

肝硬変の治療過程で使われる薬としては、主に以下のものが挙げられます。

肝庇護薬

肝庇護薬とは肝臓の負担を軽くする薬で、肝臓の炎症や線維化を抑制することで、症状の緩和や進行を抑える効果が期待できます。代表的な薬は以下の通りです。

ウルソ(内服薬)

ウルソの主成分・ウルソデオキシコール酸は、肝臓で作られる消化液「胆汁」の一成分です。胆汁内のウルソデオキシコール酸の比率を上昇させると、肝細胞への障害が軽減されて肝機能の数値が改善したり、発がんを抑制する効果があるとされます。

グリチロン(内服薬)、強力ミノファーゲン(注射薬)

主成分のグリチルリチンは生薬の甘草(かんぞう)に含まれる成分で、主に抗炎症作用があるとされます。内服薬よりも注射薬の方が、得られる肝機能改善効果は高いといわれています。

利尿薬

肝硬変になると、門脈圧亢進症(肝臓に流れ込む「門脈」という血圧が上昇する症状)の影響を受けたり、肝臓で作られるタンパク質「アルブミン」が減少することで、腹水やむくみなどの症状に見舞われることがあります。

これにはアルダクトン®、ラシックス®などの利尿薬を服薬し、水分を体外へ排出することが必要です。

胃腸粘膜保護薬

肝硬変が進行すると、門脈圧亢進症によって胃腸で血流のうっ滞が起こり、胃潰瘍になったり出血が生じたりすることがあります。胃腸粘膜保護薬は、胃酸の分泌を抑え、胃腸の粘膜を保護することで潰瘍を治療し、静脈瘤の破裂を防止する効果があります。ファモチジン、ガスター®、パリエット®、オメプラゾールなどがこれに該当します。

抗生物質

合併症の一つ、肝性脳症の治療に用いられる薬です。肝臓はアンモニアを分解する機能を担っていますが、肝機能が低下することで血中にアンモニアが蓄積され、意識障害や昏睡に陥る状態を肝性脳症といいます。カナマイシンやリファキシミンなどの抗生物質は、高アンモニア血症の改善薬として処方される薬です。

分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤

肝硬変によって肝機能が低下すると、肝臓でのタンパク質の合成機能が低下することでアルブミンが不足し、また肝臓に栄養を蓄えておくのが難しくなるため、体内ではエネルギー不足に陥ります。そこで肝臓の代わりに筋肉がアルブミンやエネルギーを作り出すようになるのですが、この際にはバリンやロイシンといった分岐鎖アミノ酸(BCAA)が使われるためにBCAAが不足します。

また、先述の通り肝機能が低下すると血中のアンモニアが増えるのですが、このときも肝臓の代わりに筋肉がアンモニアを解毒しようとするために、BCAAを使うようになります。つまり、肝硬変の患者は顕著なBCAA不足に陥っているのです。

BCAAは体内では作り出せないため、食事や薬などで摂取する必要があります。そこで処方されるのが分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤で、リーバクト®やアミノレバン®などがこれに該当します。

おわりに:症状に応じて薬を服用し、肝硬変の進行を抑制しよう

ご紹介したように、肝硬変の治療で使われる薬にはさまざまな種類があります。肝硬変自体を根治させる薬はないものの、進行を防いで肝がんなどを回避するためには、こういった薬を服用して対症療法に努めることが重要になります。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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