記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子どもが難聴と診断された場合、将来的な発育のために補聴器をつけることが望まれますが、どんな補聴器を選べばいいのでしょうか?形や値段など、選び方のポイントをご紹介していきます。
補聴器にはいくつかの種類がありますが、子どもの補聴器としては耳あな型はおすすめできません。
まず、子どものうちは頭蓋骨の成長が進んでいるため、耳の中も変化し続けます。そのため耳あな型を買ってしまうと徐々に耳の形に合わなくなり、補聴器を耳あなに合わせ直す作業が必要になります。この作業には基本的に保証が効かず、有料となるため、出費がかかってしまいます。
また、耳あな型補聴器はかなり小さいために紛失のリスクがあり、小さい子どもの場合は誤飲の可能性もあります。
この点から、子どもには耳かけ型補聴器の使用が推奨されます。
耳かけ型補聴器は機能面でも優れており、特に外部機器への接続がしやすいというメリットがあります。例えば難聴の子どもは、難聴支援用のワイヤレスマスクと補聴器を接続して利用する場合が多いですが、耳かけ型は機種によってこの機能に対応しているものが存在します。
なお、耳たぶが柔らかい乳幼児は、耳かけ型の補聴器がうまくかけられないことがありますが、メーカーによっては乳幼児期用のイヤホンクロスが用意されている場合があります。こうした付属品もうまく活用するといいでしょう。
子どもの補聴器の値段は幅広く、2万円程度で買えるものもあれば、片耳50万円以上するものまでさまざまですが、初めて購入するときは片耳10~15万円の補聴器がおすすめです。
まず、子どもの発育は「見る」「聞く」「触る」といった五感をもとに進んでいきます。しかし、「聞く」ことがうまくできない難聴の子どもは、言葉が聞こえない分、言葉自体を覚えるのが難しくなり、コミュニケーションにも支障が出やすくなります。
そこで必要になるのが補聴器で、補聴器には音を増幅させ、言葉を聞き取りやすくすることで言語能力の発達をサポートする機能があります。難聴の子どもはこの補聴器を装着し、さまざまな音を聞くことで、徐々に言葉と音の区別ができるようになり、言葉を習得していけるようになります。
つまり、幼少期にはさまざまな音を聞くことが大切なため、高い補聴器によく搭載されている雑音抑制機能などはむしろ不要のものとなります(高価なモデルでも、ジュニアモード搭載の補聴器であれば雑音抑制機能をオフにできる場合があります)。
また、子どものうちは体や思考、環境の変化が非常に早く、遊び方によっては故障することもあるので、それに合わせると3〜4年に一度は新しい補聴器を買い換える必要が出てきます。つまり、高い補聴器を買うのが良いとは言い切れないのです。
一方、安すぎる補聴器もおすすめしません。10万円以下の補聴器は、使用者の聴力の変化に合わせて音質を調整する機能が備わっていないことが多く、日によって聴力の変化が大きい子どものうちは、すぐに使えなくなってしまう恐れがあります。
しかし、10万円を超えると音の調整機能が備わっている補聴器が出てくるようになるため、初回購入時は10〜15万円の補聴器がおすすめです。ただ、難聴の程度などによってその子に適した補聴器は異なるので、あくまで目安としてください。
補聴器の値段は幅広いため、つい「高い補聴器の方が優れている」と思い込みがちですが、子どもの発育のためにはかえって不要な機能が付いている場合もあります。定期的な買い替えが必要という点も視野に入れながら、子どもに合った補聴器を選んでいきましょう。