花粉症の薬で眠くなるのはなぜ?薬で太っちゃうこともある!?

2018/6/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

花粉症の薬の副作用として、代表的なものが「眠気」です。では、なぜ花粉症の薬を飲むと眠くなるのでしょうか?また他に、副作用で太ることはあるのでしょうか?花粉症の薬について解説していきます。

花粉症で処方される薬の種類は?

花粉症の治療では主に下記の薬の、いずれかまたは複数を組み合わせて処方されます。

花粉症で服用・使用する薬

内服薬
  • 抗ヒスタミン薬
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬
  • 漢方薬
点鼻薬
  • 鼻噴霧用ステロイド薬
  • 交感神経刺激薬
  • ケミカルメディエータ―遊離抑制剤
  • 抗ヒスタミン薬
点眼薬
  • 抗アレルギー点眼薬
  • ステロイド点眼薬

内服薬について

花粉症のアレルギー反応は、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質によるもので、内服薬にはそれらの効果を抑制し、症状を抑える作用があるとされます。
また、内服薬は症状が強い場合や、初期療法(花粉の飛沫時期の1~2週間前に開始する治療)に用いられます。内服薬の効果について、以下にまとめました。

抗ヒスタミン薬
ヒスタミンという化学物質の働きを抑制し、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどのアレルギー反応を改善する効果があります。花粉症の薬としては、処方されることが多い薬です。
ロイコトリエン受容体拮抗薬
ロイコトリエンの働きを抑制することで、鼻詰まりなどのアレルギー反応を改善する効果があります。
抗プロスタグランジンD2 ・トロンボキサンA2薬
鼻詰まりの症状が強い人に処方されることが多い薬です。
経口ステロイド薬
他の薬剤を使用しても、症状に改善が見られない場合に追加で処方される薬です。
漢方薬
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)に含まれている麻黄には、鼻詰まりを改善する効果があり、花粉症に対して有効だとされています。

抗ヒスタミン薬には2種類ある!

抗ヒスタミン薬の副作用

抗ヒスタミン薬の副作用として

  • 眠気
  • 胃腸障害
  • 口渇
  • めまい
  • 頭痛
  • 尿閉
  • 便秘
  • 眼圧の上昇

などがあります。このほか、緑内障や前立腺肥大症などを持っている人への処方には注意が必要とされています。

また、抗ヒスタミン薬には眠気を促すものがあるので、運転することの多い人は、眠気が起こりにくいものを処方してもらいましょう

第二世代の抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬には、副作用が比較的強い「第一世代抗ヒスタミン薬」と、新しく作られた副作用が弱めの「第二世代抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)」があります。

現在処方されることが多い第二世代抗ヒスタミン薬は、症状が現れている部分のみに作用するため、第一世代抗ヒスタミン薬よりも副作用が起こる確率が低いです。ただし、眠気などの自覚症状がなくても、集中力低下・判断力や作業効率が低下することがあります。

花粉症の薬の副作用で太っちゃうことがあるの?

花粉症で用いられる薬の一つである「アレグラ®」は、グレリンと呼ばれる物質の分泌を促進することで、満腹中枢への刺激を抑える効果があります。そのため、満腹を感じにくくなり食欲が増進し、体重増加が起こりやすくなります。

グレリンとは、主に胃から作られる摂食促進ペプチドホルモンのことで、脳下垂体に働きかけることで成長ホルモンを分泌させたり、大脳の視床下部に働きかけて食欲増進を促す効果があります。また、アレグラは抗ヒスタミン薬の一つですが、抗ヒスタミン薬に含まれるフェキソフェナジンには便通を悪くする作用があるため、それにより体重増加が起こる可能性もあります。

薬の副作用で、頭痛やめまいが起こることもある!?

頭痛の発生は抗ヒスタミン薬の抗コリン作用(副交感神経を刺激するアセチルコリンの働きを抑制する作用)によるもので、交感神経が活発になることで血管収縮が起きて血行が悪くなります。また薬の副作用以外でも、首・肩・頭部などの筋肉の凝りにより頭痛が起こることがあります。

めまいも頭痛と同様、血行不良により脳への血流が減少することにより、内耳機能が低下することがあります。多くの花粉症の薬の副作用として、めまいの発生の可能性が挙げられていますが、実際に起こることはまれ(0.1~5%ほど)だとされています。

おわりに:運転をする人は眠気が起こりにくい薬をもらいましょう

花粉症で用いられる内服薬は、花粉症の症状の原因となるヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質を抑制することで症状を改善する効果があります。ただ、抗ヒスタミン薬には眠気を促すものがあるので、運転をする機会が多い人は、眠気が起こりにくいものを処方してもらいましょう。また、内服薬の一つであるアレグラ®は満腹中枢への刺激を抑える効果があるので、食欲増進に伴う体重増加にも注意が必要です。

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