「潔癖症だから病気やアレルギーになる」説。ウソ?ホント?①

2017/3/23

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

高い衛生基準が維持されている現代。その反面、花粉症、喘息などのアレルギー患者は増加しつづけています。
「潔癖症の弊害だ」「バイ菌への耐性がないから、現代人は弱くなっている」などと言う人もいますが、“キレイ好きだと病気になりやすくなる”という説は本当なのでしょうか?

潔癖症と病気(アレルギーなど)に関するさまざまな質問について、2回に分けてお答えしていきます!

現代人は潔癖症すぎる?

私たちが潔癖症すぎるのか、というとそんなことはありません。そもそも、個人と家庭において良い衛生状態を維持することは非常に重要です。
良い衛生状態とは、「感染を避け、他者への感染拡大を防ぐ」ことを言います。料理をするとき、くしゃみをしたとき、風邪をひいたときなど、周りへの最近の拡散を防ぐのはとても大切なことです。決して汚れがない状態ではなく、異常なほどの清潔さを要するものでもありません。
いま、メディアの影響によって、「潔癖症」という言葉が悪いイメージで一人歩きし、「現代の衛生基準は健康に悪い」と考えてしまう人も現れてしまっていますが、それは間違いです。
いまの衛生状態を緩めず維持することが重要です。細菌にさらされることは、現代のアレルギー増加を説明する理由の1つにすぎず、最も大きな要因とはいいきれません。

なぜ衛生管理は大切?

風邪やインフルエンザなどの病原菌、カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌O157などのお腹の病気を家庭内外、食品、ペット、人と人との間で広げるのを防ぐには良い衛生状態が重要です。免疫系が十分に発達していない乳児や、病気や投薬のために免疫系が弱っている人など、リスクの高い人を守るには特に注意が必要です。

家を掃除しすぎるのは悪いこと?

十分に掃除しても家に細菌がいなくなることはありません。
掃除で除去されるのと同じ速さで、新しい細菌が人間、ペット、汚染された食べ物、外気などを経由して戻ってきます。「現代は無菌の家で生活している」という考えは全く間違っています。家を無菌状態にすることは不可能です。

病原菌にさらされると免疫系が強くなるというのは本当?

はい、生まれてから最初の数年で良性・悪性の両方の細菌にさらされると、免疫系が発達しやすくなると考えられています。これは身体が感染症と闘う方法を身につけ、有害物質と無害物質を区別するのに役立ちます。
人生を通して、免疫系がさまざまな菌に対処できるように、日頃から身体(特に内臓や皮膚)が良性・悪性の病原菌にバランス良くさらされることが重要です。このバランスを維持することで、外出しても病気になりにくくすることができます。

しかし特定の菌の場合、衛生状態をよく管理し、有害な細菌にさらされないための予防措置を取る必要があります。大腸菌、ノロウイルス、麻疹ウイルスなどの病原体にさらされることは非常に危険であり、生命を脅かす病気につながる可能性があります。これらのタイプの感染症は、身体と免疫系に永続的な損傷を引き起こす可能性があるため、再度攻撃されたときには感染症とうまく闘うことができません。
なお、健康的なライフスタイルを維持する人は、より強い免疫系を持つ傾向があります。免疫系を弱くするライフスタイルの要因には、お酒を多量に飲むこと、質の悪い食事、ストレスが含まれます。

サルモネラ菌、大腸菌、インフルエンザなどの病原菌に対する免疫を発達させることはできる?

ある程度はできます。サルモネラ菌やはしかなどの特定の有害な細菌に接触すると、身体が反応して抗体(身体が病気と闘うために産生する物質)を産生させ、細菌を中和し、その特定の細菌に対して防御します。

しかし、意図的にそのような病原体に身をさらすことは危険です。なぜなら、身体が反応して感染症と闘う前に病状が非常に深刻になるかもしれないからです。そして無事に回復したとしても、その特定の病原菌に対しての免疫しか発達しなくなります。
このため、インフルエンザや麻疹ウイルスなどの微量の安全な細菌にさらすことができるように開発されたものがワクチンです。ワクチンを摂取すれば、私たちは病気になることなく身体を守ることができます。

おわりに

「潔癖症も度が過ぎると身体に悪い」と聞いたことがあるかもしれませんが、いくら掃除をしても完全な無菌状態にすることはできません。また、わざわざ不衛生にするとさまざまな感染症のリスクが高まるので、清潔な状態をキープすることが大切です。次回では、生活環境とアレルギーの関連性などについてご紹介します。

続きはコチラ→「潔癖症だから病気やアレルギーになる」説。ウソ?ホント?②

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