記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/20 記事改定日: 2019/2/1
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
仕事に追われ、対人関係などで溜まりがちなストレス。このストレスが原因で、貧血が起こることはあるのでしょうか?
ストレスと貧血の関係について解説していきます。
中高年になると、ストレスにより胃や十二指腸に潰瘍ができることが多くなり、潰瘍は悪化すると出血が起こることがあります。
このような消化性潰瘍は出血を繰り返すと、血液中のヘモグロビンの量が減少し、慢性的な貧血状態となるので注意が必要です。
強いストレスにより潰瘍からの出血量が増加すると、便がタール状のねばねばした状態になったり、立ちくらみやふらつきが続くことがあります。
基本的には異常が見られた段階で病院を受診し、必要に応じて便潜血検査や内視鏡検査などを受けた方がいいでしょう。
消化性潰瘍による貧血を防ぐためには、ストレスの解消や気分転換、十分な睡眠、節酒などを心がけることも重要となります。
強いストレスを感じると、自律神経の乱れにより胃粘膜の血流低下や胃酸分泌の亢進が起こり、潰瘍ができやすくなります。
また、ピロリ菌に感染している場合は、胃粘膜の防御機能の低下により、喫煙やストレスなどの刺激でも潰瘍が生じやすくなり、悪化のスパイラルに陥ることもあるのです。
このように、胃粘膜の潰瘍からの出血が原因の貧血はストレスと大きく関わってきます。日頃からストレスを溜めないようにすることがさまざまな病気の予防のために必要です。
ストレスが引き金の消化管出血などによる貧血を予防するためにも、日頃から十分なストレスケアを心がけることが大切です。具体的には以下のようなケアを行っていくとよいでしょう。
ストレスで貧血になる可能性はありますが、基本的には貧血は鉄分不足やたんぱく質不足などの栄養の偏りが原因のものが多いです。
体中に酸素を運搬するヘモグロビンは、鉄とタンパク質から作られているため、鉄分不足になるとヘモグロビンが産生出来なくなり、貧血が起こります。また、鉄の吸収率を高める効果のあるビタミンCの不足が原因となることもあります。
これらの栄養素の不足は、偏食やダイエットによるものが多いため、特に若い女性に起こりやすいとされています。
妊娠すると、母体の鉄分の大半は胎児に優先的に運ばれるため、妊娠中は貧血を起こしやすいとされています。また、授乳期にも母乳を通して赤ちゃんに鉄分が補給されるため、母体に鉄分が不足しがちになります。産前産後の貧血は、母子共に悪い影響を及ぼすため、鉄分を多く含む食品や鉄剤などで鉄分を補給しましょう。
通常の月経で失われる血液量は約25~60mlで、貧血になることはあまりないとされていますが、無理なダイエットや偏食をしていると、通常の出血量でも貧血になることがあります。
ストレスそのものが貧血を引き起こすというよりも、ストレスにより胃や十二指腸に潰瘍ができて出血を繰り返すことで、慢性的な貧血状態になる可能性があります。
いすれにしてもストレスは万病の元です。日頃からリフレッシュできる時間を設けるなど、生活習慣を改善しましょう。また、鉄分やたんぱく質なども十分に摂取してバランスよく食べるように心がけてください。