記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/2 記事改定日: 2019/2/17
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
体質を改善することで花粉症を治す、舌下免疫療法とはどのような治療法なのでしょうか?また、治療を受けられない場合もあるのでしょうか?舌下免疫療法のメリットやデメリット、治療方法などを解説していきます。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)は、アレルギーの根本的原因となる「アレルゲン」を少量ずつ体内に投与することにより、アレルゲンに耐性をつけ症状を緩和する治療法です。
花粉症・アレルギー性鼻炎・気管支喘息などのアレルギー症状に対して有効とされています。また、2014年からスギ花粉症の治療で使用されるアレルゲン免疫療法薬「シダトレン®」が保険適用になりました。
臨床試験結果によると、治療により約8割の人に症状改善効果が見られ、そのうちの約2割の人は症状が現れなくなり、残りの約6割の人にも症状軽減が見られたとされています。
アレルゲンに対する免疫をつける治療法のため、根本的な治療が期待できます。
治療を行う前に、血液検査によるスギ花粉の有無を診断が行われ、治療を希望する人に対して舌下免疫療法についての説明が行われます。
治療では、スギ花粉エキス剤を舌下に服用し、2分間そのままの状態を維持した後に飲み込みます。
この工程を1日1回、3年以上継続します。花粉症の時期以外の時にも服用を続ける必要があり、1年目から症状に改善が見られる人もいます。
治療開始から最初の2週間は「増量期」として少量の服用からはじめ、徐々に量を増やしていきます。機維持期となる3週目からも同じ量を服用します。
なお、舌下免疫療法は、注射を用いて薬剤投与を行う皮下接種法と比較すると、副作用や通院回数が少なくすむとされています。
舌下免疫療法を始める時期は、遅くとも12月初旬までに開始するのが最適とされています。
それまでに治療が開始できなかった人は、花粉飛沫時期である1~5月に治療を開始することもできないため、次の開始時期(スギとヒノキの花粉症の時期が終わる6~12月)まで待たなければなりません。
1日1回の服用を、数年間の長期に渡り続ける必要があり、途中で服用を中断した場合は、再び最初からやり直さなければならなくなります。
初めて服用する時は医師の監督下で行いますが、2日目からは自宅で服用することができます、
治療薬を舌下に服用して数分間その状態を保持した後、飲み込みます。その後約5分間はうがい・飲食を避け、服用後2時間は激しい運動や入浴も控えてください。
また、薬の保管は冷蔵庫で行い、飲み忘れ防止のために服用の記録をつけることが推奨されます。
下記の人は、舌下免疫療法が受けられません。
舌下免疫療法は健康保険の適応になりますので、年齢によって1~3割の自己負担で受けることができます。
費用は医療機関によって異なりますが、必要な薬代や診察費などを合わせて一か月で2500~5000円ほどが相場です。一年を通して行う必要がありますので、年間では30000~60000円ほど必要になります。また、同時に花粉症に対する治療薬を処方される場合は、それらの費用も同時に発生します。費用に関しては、受診する予定の医療機関に前もって問い合わせておきましょう。
舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)とは、アレルゲンとなる花粉エキスを少量ずつ体内に投与することにより、アレルゲンに耐性をつけ症状を緩和する治療法です。
臨床試験結果では約8割の人に症状改善効果が見られ、アレルゲンに対する根本的な治療として注目を集めていますが、3〜5年の長期にわたって毎日薬の投与を続ける継続力が必須となります。
遅くとも12月初旬までに開始する必要があるため、治療を希望する人はそれまでに医療機関を受診するようにしましょう。