風邪の原因ウイルスと予防対策のポイントについて

2024/5/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

風邪のおもな原因微生物はウイルスといわれていますが、どのような種類のウイルスが原因になり、どのような特徴があるのでしょうか。この記事では、風邪の原因ウイルスと風邪予防のためにできる対策について解説していきます。

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風邪の原因になるウイルスについて

風邪とは鼻や喉が微生物に感染した状態のことで原因微生物の多くがウイルスといわれています。風邪のウイルスは200種類以上あり、同じ名前のウイルスでも様々な型があり年々変異します。原因となるウイルスの種類を特定することは難しい場合も多く、ひとつのウイルスに対して免疫がついても、次々と新しいウイルスに感染して風邪をひいてしまうこともあります。風邪を引き起こすおもなウイルスとして、以下が挙げられます。

ライノウイルス

一般的に秋や春に多く発生するウイルスで、風邪の原因の約30~40%を占め、おもに鼻風邪の症状を引き起こします。

コロナウイルス

一般的に冬に多く発生するウイルスで、おもに鼻や喉に風邪の症状が出るといわれています。ライノウイルスの次に感染率が高いウイルスです。

RSウイルス

年間を通して発生しますが、とくに冬に多いといわれています。乳幼児が感染すると、気管支炎や肺炎を引き起こす可能性があります。

アデノウイルス

冬~夏に多く発生するウイルスで、プール熱もこのウイルスが原因となり発症します。咽頭炎・気管支炎・結膜炎などを引き起こす可能性があります。

エンテロウイルス

夏に多く発生するウイルスで、風邪や下痢などの症状を引き起こします。

インフルエンザウイルス

風邪と同様、鼻や喉の感染により引き起こされますが、インフルエンザウイルスに感染すると、一般的な風邪よりも症状が重くなる傾向にあります。また、高熱や関節痛・筋肉痛などの全身症状のほか、インフルエンザ脳症・肺炎などの合併症を発症することもあります。

パラインフルエンザウイルス

秋に発生するタイプと、春~夏に発生するタイプに分けられます。主に鼻や喉の症状を起こし、子どもが感染すると重症化しやすい傾向があるとされています(インフルエンザとは全く関係のないウイルスです)。

風邪の予防のためにできる対策

ウイルスは、くしゃみや咳を介して周囲に飛散し、ウイルスの付着した手で触れることで感染することもあります。電車やバスのつり革・ドアノブ・エレベーターなどの密室空間・パソコンのマウスやキーボードなど、様々な場所にウイルスが潜んでいる可能性があります。外出時には、必要ないものになるべく触れないようにし、こまめに手洗いを行うことをおすすめします。また、帰宅をしたらしっかりと手洗い・うがいを行いましょう。うがいは、ウイルスに感染した粘膜に別の細菌がとりつく「二次感染」の予防にもつながります。

ウイルスの侵入を防ぐためには、侵入経路となる鼻や喉の粘膜の潤いを保つことも大切です。鼻や喉の粘膜では、ウイルスなどの異物を排出して侵入をブロックする「線毛運動」が行われていますが、乾燥すると線毛運動が正常に行われなくなることがあります。また、同じ気温でも、湿度が高いほどウイルスの生存率は下がるといわれています。

線毛運動が正常に行われるようにするためには、粘膜の潤いを保つことが大切といわれています。部屋の湿度を管理したり、マスクを装着して気管支の潤いを保ったりするなどの工夫をしましょう。また、食生活のバランスを整える・睡眠時間を確保する・適度な運動を心がけるなど、生活習慣を見直すことも大切です。

疲労やストレス対策も大切

心身に疲労が蓄積すると、免疫機能が低下してウイルスに感染しやすくなります。また、精神的ストレスや肉体的ストレスが感染に影響する場合もあるといわれています。精神的ストレスとは「仕事上のトラブルやミス」「失恋のショック」「近親者の他界」などによる精神的苦痛のことで、肉体的ストレスとは「暑さや寒さ」「肉体的な苦痛」「火傷」「出血」など、体に生じる異変などが挙げられます。しっかりと休養をとるなどして心身の回復を促し、ストレス解消を心がけることも、風邪の予防につながります。

おわりに:うがい・手洗い・マスクと生活習慣の見直しが風邪予防のポイント

風邪の原因微生物の多くはウイルスであり、その種類は200種類以上あるといわれています。ウイルスの感染を完全に防ぐことは難しいですが、うがい・手洗い・マスクの装着・生活習慣を見直すなどの対策である程度予防できる可能性があります。必要に応じてかかりつけ医に相談しながら、毎日の生活を見直す機会を作ってみてください。

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