風邪の関節痛の対処法のポイントは?

2018/7/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

風邪によって体の節々が痛む「関節痛」に見舞われた経験、一度はあるのではないでしょうか?ではそんな風邪に伴う関節痛を緩和するためにはどのような対処をすればいいのでしょうか?風邪によって関節痛が起こる仕組みや、対処法について解説していきます。

風邪の関節痛に対処するには?

鎮痛剤を服用する

鎮痛剤には、関節痛を緩和する効果がありますが、同時に体温を低下させてしまう作用もあるので服用する際には注意が必要です。体温の上昇は、免疫細胞の作用を発揮するために必要な行為なので、体温が低下してしまうと免疫細胞の作用が弱まってしまいます。
そのため、風邪で体温が上がっているときは、なるべく無理に温度を下げないことが大切です。免疫力の働きを妨げると、回復が遅れる可能性もあります。

また、一般的な風邪薬には鎮痛剤の成分も含まれているため、鎮痛剤と同時に服用すると、薬の作用が過剰になる恐れもあります。ただし、関節痛の痛みが強くて眠れないときには、解熱鎮痛剤の服用により痛みを緩和して、体を休めることも必要となります。
解熱鎮痛剤を服用する前に風邪薬を飲んでいる場合は、6時間以上の間隔をあけてから服用するようにしましょう。

湿布や冷たいタオルで冷やす

風邪に伴う関節痛は、PGE2(プロスタグランジンE2) と呼ばれる物質の分泌が関係など全身の炎症が原因とされます。

冷却する際は、氷枕や凍らさせたタオルなどを太い血管(内もも・ひざ裏・わきの下・肘の内側)に当ててください。患部を冷やすことにより、血液の温度の低下や、血管収縮作用が起こり、炎症に伴う痛みを軽減することができます。

ただし、長時間冷却すると免疫細胞の働きが弱まってしまうため、眠れるほど痛みが緩和されたらやめるようにしましょう。

アロマオイルなどを焚く

ペパーミントやラベンダーのエッセンシャルオイル(アロマオイル)には、鎮痛作用があるとされています。風邪薬と併用してみるのも良いでしょう。心身共にリラックスすることで、痛みが緩和する可能性があります。

風邪で関節痛が起こるのはなぜ?

ウイルスや細菌の侵入から体を守るため、白血球はサイトカインという物質を分泌します。しかし、サイトカインは過剰に分泌されると臓器の機能を著しく低下させてしまうため、その働きを抑制するために、先述のPGE2が分泌されます。ただ、このPGE2は分泌されるときに関節痛や発熱を引き起こす作用があるのです。
そのため、感染したウイルスの数が多くなるほど、サイトカインやPGE2の分泌量も増していき、発熱や関節痛の痛みも強くなっていきます。

高熱や倦怠感を伴う関節痛には要注意!

風邪に伴う関節痛は免疫細胞の働きによって起こるため、根本的原因となる風邪を治療することが大切です。また、38℃以上の高熱が続いたり、全身の倦怠感がある場合はインフルエンザの可能性があるので注意しましょう。

その他、乳幼児が風邪でぐずっているときなどにも、関節痛による痛みが原因が考えられるので、注意して見てあげることが必要です。

風邪の関節痛を治すためには

風邪自体には特効薬がないので、以下のことに気をつけて体の回復に努めることが重要です。

体を温める

体を温めることにより体温が上昇すると、免疫細胞の働きが活発化し、風邪菌への抵抗力が増します。

睡眠

睡眠を取って体を休めることは、風邪を治療する上でも重要な要素となります。睡眠前にリラックス効果のあるカモミールティーを飲むと、熟睡することができるのでおすすめです。

水分補給

風邪をひくと、発熱などにより体の水分が消費されるので、電解質を含むスポーツドリンクでこまめに水分を補いましょう。

食事と栄養

食欲がないときは、無理に食べ物を摂取する必要はありませんが、水分補給はこまめに行うようにしましょう。体調が落ち着いて少し食べられるようになったら、ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンC・タンパク質を豊富に含む食品を食べるようにしましょう。

各栄養素を豊富に含む食品

ビタミンA
卵(卵黄)、レバー、うなぎ、ホタルイカ、チーズ、バター
ビタミンB1
豚肉、うなぎ、きな粉、大豆、落花生、枝豆、のり
ビタミンC
カラーピーマン、ブロッコリー、カイワレ大根、アセロラ、キウイフルーツ、のり
タンパク質
しらす干し、いわし、牛肉、鶏肉、高野豆腐

うがい

うがいで関節痛自体が治るわけではありませんが、風邪で弱ってしまった状態の喉を他のウイルスの感染から予防する効果が期待できます。

正しいうがい方法

  1. うがい液を口に含んで閉じ、うがい液を口の中で左右に移動させながら「グチュグチュ」として、吐き出します。
  2. 再度うがい液を含み、口を開けたまま上を向いて喉を震わせましょう。
  3. 喉の奥で、うがい液が温かく感じてきたら、吐き出しましょう。

おわりに:鎮痛剤は痛みが強いときのみ服用しよう

風邪に伴う関節痛には、PGE2(プロスタグランジンE2) と呼ばれる物質の分泌が関係しており、感染したウイルスの数が多いほど、発熱や関節痛の痛みも強くなっていきます。そんな関節痛を緩和するためには、鎮痛剤の服用や患部の冷却、アロマオイルなどが有効です。ただし、鎮痛剤で体温を下げると免疫力の働きが低下し、回復が遅れる可能性があるので注意して使用しましょう。

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