記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的に筋肉痛は、激しい運動をした後に起こるものですが、まれに薬の副作用によって筋肉痛などの症状に見舞われることがあります。今回は、そんな筋肉痛の副作用を起こす可能性のある代表的な薬をご紹介していきます。
特定の薬の服用を始めてから、手足や肩、腰などで筋肉痛やこわばりが見られるようになった場合は、「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」という副作用のサインの可能性があります。
横紋筋融解症は、筋肉を作っている骨格筋細胞が融解・壊死することにより、筋肉の痛みや脱力感が生じる病気です。また、骨格筋細胞の融解・壊死に伴い、血中に大量の筋肉成分(ミオグロビン)が流出することで、腎臓の尿細管が傷ついて急性腎不全を起こすなど、重篤な臓器障害を引き起こすこともあります。
横紋筋融解症の主な症状としては、以下が挙げられます。
副作用として横紋筋融解症を起こす可能性のある薬としては、以下のものが挙げられます。
横紋筋融解症の副作用報告が最も多いのが、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)です。アメリカの調査によれば、スタチン服用者における筋肉痛の発症率は2〜7%、筋力低下は0.1〜1.0%の患者に認められたそうです。特にHMG-CoA還元酵素阻害薬とフィブラート系薬剤を併用すると、横紋筋融解症の発症リスクが3〜5倍になるといわれているので注意が必要です。
横紋筋融解症の副作用報告が多い薬としては、高脂血症の治療薬やニューキノロン系抗生物質が代表的ですが、その他に下記の薬で横紋筋融解症が起こる可能性もあります。
筋肉痛や筋肉のこわばり、手足のしびれなどの症状を引き起こす「横紋筋融解症」は、主に高脂血症の薬やニューキノロン系の抗生物質の服用が原因で起こることのある副作用です。発症はまれですが、ご紹介した薬を服用した後にこれらの症状に見舞われた場合は、すぐに主治医に報告するようにしてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。