記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
過去の経験や未来への恐怖から、必要以上に日常生活への不安を募らせてしまう不安障害。
発症した場合の治療は投薬がメインですが、漢方薬も使われるのでしょうか。
今回は不安障害の治療に漢方薬が使われるケースについて、期待されるメリット・デメリットと病院の治療薬との飲み合わせなどを、使われる薬の種類も含めて解説していきます。
もともと、漢方薬は不安障害の治療薬として積極的には使われていませんでした。
しかし近年では、不安障害の治療薬(抗不安薬など)の副作用への懸念から、あえて効果が緩やかな漢方薬を治療薬を希望する患者さんや医師が増えてきているといわれています。。
不安障害の治療として漢方薬を使用するときのメリット・デメリットとしては、それぞれ以下のような項目が挙げられます。
西洋医学が「不調の原因に直接働きかけ、取り除こう」とするのに対し、漢方・東洋医学では「身体の治癒能力を改善して本来のバランスを取り戻す」ための治療を行います。
不安障害の治療薬として漢方薬の使用を検討しているなら、上記から東洋医学の基本的な考え方や漢方薬使用のメリット・デメリットをきちんと理解したうえで意思決定をしましょう。
一般的な薬と比べると、飲み合わせによるリスクが低いとされる漢方薬ですが、自己判断で病院の治療薬と飲み合わせると、思いがけない副作用に見舞われる可能性があります。
たとえ漢方薬であっても、基本的には病院で処方された治療薬とは併用しない方が良いでしょう。
なお、事情によりどうしても病院の治療薬と漢方薬を併用したいという場合には、必ず事前にかかりつけの医師に説明・相談してください。
東洋医学において、人の心身の健康は「証(しょう)」というものさしによって測られます。
証には身体の状態を判断する「陰陽(いんよう)」、体力や抵抗力を判断する「虚実(きょじつ)」、人の身体をめぐり心身のバランスをとる「気・血・水」からなります。
不安障害は、東洋医学的に見ると目に見えない生命エネルギーである「気」のバランスが乱れ、身体と心のバランスが乱れていると考えられます。
このため、不安障害に効く漢方薬として、患者の症状にあわせて以下のような種類が治療薬として処方されることが多いです。
不安や緊張、ストレスなどからくる精神症状として現れた胸やお腹の筋肉の緊張緩和に効くとされる「柴胡」をメインに配合した漢方薬です。
特に、以下の4種類の柴胡剤が症状にあわせて使われています。
天然由来で副作用の心配が少なく、身体にやさしい漢方薬は、近年では不安障害の治療にも使われるようになってきました。患者の体質や相性、効き目の緩やかさから効果を実感するまでに数か月かかりますが、できるだけ穏やかに治療を進めていきたいという人にはおすすめです。
ただし、自己判断で他の治療薬と飲み合わせるのは危険です。漢方を使った不安障害の治療に興味があるなら、まずはかかりつけの医師に相談してくださいね。