記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間でクッションのような役割を果たす椎間板が、老化・劣化して突出し、神経を圧迫することで強い腰痛やしびれなどの症状を引き起こす病変です。
今回は椎間板ヘルニアの治療法のうち手術療法について、手術によって考えられるリスクや手術が必要なケース、よく使われる手術方法まで解説していきます。
椎間板ヘルニアを治療するための手術では、神経を圧迫している椎間板の突出部分を取り除きますが、すべてを摘出できない場合があります。このため、手術を受けてもヘルニアが再発し、再手術が必要になることがあります。
また、痛みだけであれば、手術で圧迫部位を除去することですぐに改善しますが、長年かけて進行した神経症状(しびれや麻痺など)はすぐには良くならないことが多いといわれています。
医療技術の進歩で椎間板ヘルニアの手術の安全性や回復率が上がってきているといわれていますが、上記で説明したような再発リスクや手術自体のリスクがあることは理解しておく必要があるでしょう。
椎間板ヘルニアの治療法としては「手術療法」と「保存療法」の2つの選択肢があります。
ただし、椎間板ヘルニアは自然治癒することが多いので、治療の第一選択肢としては手術療法ではなく、まずは以下のような「保存療法」が選択されるのが一般的です。
上記のような保存療法を行っても症状の改善が見られない場合や、症状がひどく日常生活に支障があると判断された場合は、手術療法が検討されます。
一般的に、以下のいずれかの条件に当てはまる場合は、椎間板ヘルニアの手術をせざるを得ないと判断されます。
椎間板ヘルニアの手術では、患者の症状にあわせて「LOVE法」「脊椎固定術」「経皮的レーザー椎間板減圧術」の代表的な3つの手術法のうち、いずれかが行われます。
以下にそれぞれの具体的な手術方法を解説しますので、治療への理解に役立ててください。
全身麻酔を施し、腰のあたりの皮膚を5cmくらい切開して患部を露出させ、突出して神経を圧迫している椎間板を直接切除する手術法です。
下肢の痛みの改善にとても効果的な術式ですが、全身麻酔が必要で患部の状態によっては骨を削る場合もあるため、退院までには10~14日間程度かかるといわれています。
全身麻酔で腰のあたりを切開し、神経を圧迫している椎間板を取り除いたうえで、脊椎(背骨)が安定した状態になるよう骨や金属で固定する手術療法です。
骨で固定する場合は患者本人の骨盤を、金属の場合はプレートやスクリューを使用します。
脊椎が固定されることで長期的に腰の状態を安定させることが可能ですが、大掛かりな手術であるため、状態が安定するまでには術後6か月程度かかります。
椎間板の変形・突出の原因となっている「髄核(椎間板の核にあたる部分)」のはみだしをレーザー除去することで、症状の改善をはかる手術療法です。
局所麻酔で行われ、腰に挿入した直径0.4mmの針からレーザーファイバーを入れ、数分~10分程度髄核を照射して炭化または蒸発させ、椎間板のはみだしを引っ込めます。
切開がないので患者への負担は少なく、1日の入院で済むことがほとんどですが、高い技術が要求されるため実施できる病院が限られてきます。
椎間板ヘルニアを発症しても、必ずしも手術が必要なわけではありません。まずは神経ブロックや薬物療法・理学療法などの保存療法が行われますが、十分な効果が得られない場合には外科手術を行うことになります。手術治療が必要かどうかは症状の度合いや状態によっても変わりますので、まずは病院に行って検査してもらい、医師と相談しながら納得のいく治療方法を選びましょう。