記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
いびきの治療方法にはさまざまなものがあり、その一つに「マウスピース」の装着があります。では、マウスピースをつけるとどんな効果が得られるのでしょうか?また、マウスピースを歯科でつくる場合はどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
そもそもいびきは、狭い気道を空気が通過する際に喉周辺の粘膜が震えることで発生する振動音です。気道が狭くなる主な理由としては、鼻づまりや首回りの脂肪、生まれつきの顎の小ささ、就寝前の飲酒、そして睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に10秒以上、無呼吸の状態が起こる病気)が考えられますが、こういった原因からくるいびきにマウスピース治療が行われることがあります。
マウスピース治療とは、睡眠時に上下の歯に装着する特殊なマウスピースを入れることで気道を確保する治療法で、主に以下の効果があるとされます。
ただ、マウスピースをつけることで睡眠中のいびきは改善されますが、これはあくまで一時的な対症療法に過ぎません。根本治療をしない限り、いびきはずっと続くことになってしまいます。例えば、そもそも首回りの脂肪でいびきが起こっている場合はダイエットが必要ですし、慢性鼻炎による鼻づまりでいびきが起こっている場合は、鼻炎治療が必要になります。
一般的にいびき治療のマウスピースは歯科で作成しますが、保険適用で作成する場合は、専門の医療機関での睡眠時無呼吸症候群の診断書が必要になります。
作成費用は歯科によって異なりますが、保険適用(3割負担)となった場合はおよそ1〜3万円が相場です。一方、保険適用とならなかった場合は2〜15万円程度とかなりの差があり、マウスピースの形によっても値段は異なります(上下がくっついた上下固定式のマウスピースや、上下が開く上下分離式のマウスピースなどさまざまな種類があります)。
いびき対策グッズとしてのマウスピースは通信販売などでも売られていますが、市販のものよりも歯科で作成したマウスピースを使うことをおすすめします。
市販のものは使用者の歯や口の形に合わせて作られたものではないので、安くてもうまく装着できなかったり、不具合が生じたりする恐れがあります。しかし、歯科で作成したマウスピースは、専門の歯科医が一人一人の歯並びや顎の形に合わせて作成するものなので、そういった不具合が起きるリスクを減らすことができます。
マウスピースを装着すると、口呼吸が防止され、また舌が前方に引っ張られることで気道が広がるようになるため、いびきが起こりにくくなります。しかし、マウスピース治療は軽度の睡眠時無呼吸症候群でしか効果を発揮しないことが多く、基本的には肥満などの根本原因を解消することが不可欠です。あくまで対症療法ということを理解した上で、原因の治療を進めていきましょう。