風邪に効く漢方薬って葛根湯だけじゃないの?漢方からみた風邪って?

2018/6/23

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ひきはじめの風邪のときに効果が期待できる薬として、葛根湯があります。市販薬として薬局でも販売されているので、飲んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。
では、葛根湯のほかに風邪に効く漢方薬はあるのでしょうか。
この記事では、風邪に効く漢方薬と漢方医療の考え方について解説しています。

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漢方の視点でみる風邪って?

漢方医学では、病気についての考え方が西洋医学と異なります。とてもおおまかにいうと、西洋医学では出ている症状そのものにピンポイントで注目するのに対し、漢方医学ではそのような状態を作り出した原因や背景に注目します。

漢方医学で風邪を治療する場合も、それは同様です。そもそも「風邪」の語源は漢方医学(東洋医学)がルーツとされていて、漢方では「風邪」の原因は「環境と人」にあると考え、まずは体を温めるなど、体の治癒力を高めるための対処をします。

現代においては、風邪の原因はウイルスの感染と特定されていますが、古い時代ではそのような存在は知られていませんでした。どのような環境(天気や季節など)で、どのような身体の状態の人が風邪を引くのかを注意深く観察し、経験を重ねることで対処法を編み出していったのでしょう。

風邪に効く漢方薬って葛根湯だけじゃないの?

上記でも説明したように、漢方で風邪を治す場合、まずは風邪をひいている人がどんな体の状態なのかによって対処を変えます。若いのか高齢者なのか、体力があるのか体力がないのかなど、その人の特徴や状態によって使われる漢方が異なるのです。

さらに、風邪のひき始めなのか、だいぶこじらせてしまっているのかなども判断の材料になります。漢方医学において、風邪はひきはじめたときは体の表面に在り、だんだんと身体の深部に入っていくと考えます。この風邪の位置(病位)にあわせて使われる漢方が決められるのです。

たとえば、体力がある人、あるいは風邪の引きはじめの場合などは、発汗を促すための漢方薬が処方されます。よく聞く「葛根湯(かっこんとう)」などの薬がこれにあたります。一方、高齢者や体力がない人が風邪を引いた場合には冷えた体を温める「黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」などが使われることが多いといわれています。

漢方薬と一緒にほかの薬を飲んでいい?

一般的には、漢方薬とそれ以外の薬は一緒に飲んでも大丈夫なことが多いです。しかし中には、特定の漢方薬と一緒に飲んではいけない薬があったり、あわせて飲むことで同じ成分をとりすぎてしまったりする場合があります。たとえ市販の漢方薬であっても、必ず服用前に、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。とくに甘草(かんぞう)、麻黄(まおう)、大黄(だいおう)、附子(ぶし)などが含まれている漢方薬には、注意する必要があります。

おわりに: 体や風邪の状態に合わせた漢方薬を飲もう!

漢方で風邪を治す場合、まずは風邪をひいている人がどんな体の状態なのかによって対処を変えます。若い、あるいは体力がある人なのか、高齢、あるいは体力がない人なのかによって処方される漢方が異なるのです。さらに風邪のひきはじめか、こじらせた状態かなど、病気の段階によっても対処が異なります。専門医に相談しながら、自分の状態にあった漢方薬を飲みましょう。

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