PTSDの人との接し方のポイントとは?

2018/6/28 記事改定日: 2020/2/10
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

フラッシュバックや不眠など、さまざまな精神症状が現れるのがPTSD(心的外傷後ストレス障害)。もし大切な家族や恋人がPTSDを発症した場合、どんなふうに接すればいいのでしょうか。接し方のポイントについてお伝えしていきます。

PTSDの症状って?

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、何らかの強い精神的ストレスやショック体験によって、時間が経過しても強い恐怖や苦痛が生じ、生活にも支障が現れるような精神的な症状です。災害後や、暴力やいじめ、性的被害、虐待、戦争などによって生じることがあります。

また、自分自身が体験したことだけではなく、家族や親しい人が巻き込まれたときや、全くの他人が巻き込まれたことを目撃することでも起こることがあります。

PTSDでよくみられる症状としては以下のようなものがあります。

突然のフラッシュバック

PTSDでは、原因となった場面で感じた恐怖、無力感や喪失感などの感情をふとしたときに呼び起こすことがあります。また、感情だけではなく、そのときに見た光景を一緒に呼び起こすこともあります。心理的な症状だけではなく、心拍数が上がる、過呼吸が起こるなど身体的な症状も引き起こします。

常に緊張している

リラックスができず、不眠になったり、イライラや過度な緊張を示しやすくなります。

記憶が起こりそうな場面を避ける

何度もフラッシュバックを経験することで、意識的に、あるいは無意識的にフラッシュバックが起こりやすい場面を避けるようになります。

感情がまひする

喜怒哀楽といった自然とわきおこるような感情の動きがみられなくなります

数か月たっても症状が改善しない

PTSDであらわれる症状は、つらい場面を経験すれば誰にでも現れる症状ですが、多くは時間の経過とともに回復をしていきます。しかし、PTSDの場合は、時間が経過しても症状が残存したり、悪化したりします

家族や恋人がPTSDになったときの接し方

家族や恋人がPTSDになったときには、どう関わったら良いのか迷ってしまうことが多いものです。基本的には次のように関わっていきましょう。

否定しないで、話をじっくり聞く

励ましやアドバイスなどが、当事者を傷つけていることがあります。話してくれることそのものを尊重し、否定はせずにだまって話を聞くということが、本人を楽にさせるでしょう。

抱えこみすぎない

PTSDの人の症状の回復は、長い時間がかかることもあります。ご家族や恋人など近しい患者さんと関わる人も、1人で抱え込まないようにしましょう。なかなか回復しないことにイライラしたり、自分を責めたりすることは、当事者にとっては負担にもなりかねません。

また、長く関わることで、経験をしていない人が同じような苦しみを抱えてしまうこともあります。専門家の力も借りながら、複数人で関わっていくことが良いでしょう。

職場の人がPTSDになったとき、どう接すればいい?

PTSDの症状は人によって異なります。イライラ感が強く、周囲の人に当たり散らしてしまうような症状が見られる場合もあれば、ふさぎ込みがちになって抑うつ状態になることも少なくありません。

職場の人がPTSDになった場合、業務に大きな支障を来たすような症状が見られるような場合を除いては、周囲が困惑するような症状が見られたとしても「病気の症状」とよく理解し、上手く付き合っていくようにしましょう。
また、励ましや過度な特別扱いはかえって症状を悪化させてしまうこともありますので、注意する必要があります。

子供のPTSDの特徴と接し方は?

子供は思いのほかPTSDを発症率が高く、欧米の研究では何らかのトラウマを抱えている子供は2~3割ほどいるとされています。

子供の頃にPTSDを発症すると心の安定感や他者との信頼感が失われることにより、心身に様々な悪影響を及ぼすと考えられています。そのため、人間関係をうまく築くことができなくなったり、感情が麻痺して解離性障害などに進行することも少なくありません。

また、PTSDの子供は普段から感情を抑えがちになるため、突然不機嫌になる、気分が変化しやすいといった特徴があります。

PTSDの子供と接するときは、子供の気持ちや思いに共感するように傾聴し、気分の波に惑わされず安定した態度で接するようにしましょう。また、トラウマとなった出来事のことを聞き出そうとすると精神的な症状が悪化することがあるので控えるようにしてください。

PTSDの家族の悩みは、どこに相談すればいい?

PTSD患者の家族も、患者同様に大きな悩みを抱えているケースが多々あります。大切な家族を上手く支えきれない、つらそうな様子を見ているのが耐えられない、など悩みは尽きないものです。

家族自身は精神科や心療内科などでの治療を行うことはできませんが、地域の保健所や精神保健福祉センターなどで精神科医や心理士などによる精神福祉相談を利用できます。周囲に相談できる人がいない場合は、このような支援サービスをうまく利用して患者と共に家族も病気を乗り越えていくようにしましょう。

おわりに:一人で抱え込みすぎず、専門家にも相談を

PTSDは、暴力や災害、犯罪の被害といった強いショックを受けた後に起こりやすくなる精神症状です。時間が経っても精神症状がなかなか改善されないため、PTSD患者のパートナーやご家族は不安やストレスを抱えるケースも少なくありませんが、一人で抱え込まないことが大切です。専門家の手も借りて、根気よく接していきましょう。

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