記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
浮腫の解消に効果があるとされるカリウムですが、摂取を控えた方がいい人もいるのでしょうか?カリウムの摂取量の目安や、摂取を控えるべき人について解説していきます。
カリウムとは、人の生命維持活動の上で必要となる必須ミネラルのことです。主に細胞の中に水分と共にいて、浸透圧やナトリウムとカリウムのバランスを保つ働きがあります。
ナトリウムの量が多くなってしまうと、カリウムがその濃度を薄めるために水分を溜めこむため、むくみの原因になると考えられています。つまり、ナトリウムの過剰によるむくみを予防するためには、カリウムを積極的に摂取することが大切なのです。
厚生労働省により2015年に発表された、カリウムの目安量(健康状態維持に必要不可欠な量)によると、18歳以上の女性の場合は2000mg、男性の場合は2500mgとなっています。一方、目標量(生活習慣病予防のために必要な量)は、18歳以上の女性の場合2600mg、男性の場合3000mg以上となっています。
また、生活のスタイルによっては、これらの数値よりも多めに摂取した方がいいとされる人もいます。利尿作用の強い飲料(お酒、コーヒーなど)を普段からよく飲む人は、尿とともにカリウムが多量に排出されてしまいます。外食やコンビニ弁当などで塩分を多く摂取している人も、カリウム不足にならないように、多めのカリウム摂取を心がけましょう。
厚生労働省の発表では、カリウムの摂取量の上限は特に決められていません。カリウムは過剰に摂取したとしても、汗や尿とともにすぐに体外に排出される性質があるからです。
ただし、腎臓機能に問題のある人はカリウムがうまく排出できないので、カリウムの摂取を控える必要があります。これについては次の項で詳しく解説します。
先述の通り、カリウムは、ナトリウムとともに細胞の浸透圧のバランスを維持する作用があります。また、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出し、血圧を下げる効果もあるとされています。
そして、腎臓に問題のある人がカリウムの摂取を控えるべきなのは、カリウムを尿中へ排出できなくなり、体内に蓄積してしまうためです。血液中のカリウムの濃度が上昇すると、重症な不整脈や心停止を引き起こし、突然死するリスクが高まります。これらを避けるためにも、カリウムの量を制限し、血中のカリウム濃度を正常に保ちましょう。
※浸透圧とは、液体が濃度の低い方から、高い方へ移動する水圧のこと。
正常な血中カリウム濃度は3.5~5.0mEq/Lですが、5.5mEq/L以上の場合は高カリウム血症の疑いがあります。高カリウム血症は、腎不全などの腎臓に問題のある人がなりやすく、カリウムの排出がうまくできなくなり、体内にカリウムが蓄積されるために起こるものです。
※mEq/L:溶液1リットル中の溶質の当量数
通常体内にあるカリウムは、98%が細胞内に、残りの2%は血液中などに存在しています。特にこの血液中のカリウム濃度は重要な要素で、この数値のバランスが崩れると全身に重大な悪影響が及ぶとされています。正常な血中のカリウム濃度は3.5~5.0mEq/Lですが、3.5mEq/L以下の場合は低カリウム血症の疑いがあります。
カリウムには、体液の浸透圧調整作用、筋肉収縮、神経伝達などの働きがあるため、低カリウム血症になると、筋肉・腎臓・神経系などに影響が及びます。
通常、カリウムは普段の食生活で不足することはあまり見られませんが、夏場に大量の汗をかくなどしてカリウムが大幅に消費された場合は、低カリウム血症に陥る場合があります。また、腎臓に問題のある人は、野菜を水に長くさらすなどの工夫をして、カリウムの摂取量を制限する必要があります。医師の指示に従い、カリウムの摂取量のコントロールしましょう。
ナトリウムの過剰摂取による浮腫を予防するためには、カリウムを積極的に摂取することが大切です。ただし、腎臓の問題のある人は摂取量に制限が生じる場合があるので、主治医にきちんと確認しましょう。