浮腫にも病気の可能性がないものと、あるものがあるの?!

2018/6/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「浮腫(ふしゅ)」とは、皮膚と皮下脂肪の間に必要以上に血液から染み出た水分が溜まってしまい、むくんでしまう状態を指します。
今回は「浮腫」「むくみ」について、病気の症状として現れているものと、そうでないものを見分けるためのポイントについてお伝えしていきます。

立ち仕事や座り仕事の浮腫は病気が原因?

浮腫・むくみの発生原因として最も多いのは病気ではなく、日常生活の習慣によるものです。
具体的には、日常生活中に起こしてしまいがちな以下の習慣・行為によって、むくみが発生することがあります。

立ち仕事、座り仕事など、長時間同じ姿勢を取り続けること
心臓から遠い位置にある足は血液が戻りにくく、水分が染み出しやすくなります。このため、立ち続け・座り続けのどちらにしても、長く同じ姿勢を取っていることで足の血流が滞り、どうしてもむくんでしまいます
水分、塩分、アルコールの過剰摂取
水分・塩分・アルコールをたくさん摂ると血液中の水分量が増えてしまうため、血管外にも水分が染み出しやすくなり、むくみが起きやすくなります。
水分不足、または精神的ストレス
体内の水分が少ない、またストレスによって自律神経の乱れが起こると血流が悪くなり、動脈から染み出た血液を静脈が吸収できず、むくみやすくなってしまいます。
女性特有の体質、身体の仕組みによるもの
足の筋肉は心臓に血液を戻すポンプの役割も担っていますが、女性は身体の構造上筋肉量が少ないため、血行が悪くなってむくみが起こりやすいのです。
また、ホルモンバランスが周期的に変化するため、生理前や生理中、妊娠中・更年期は身体に水分をため込みやすくなるため、むくみやすい状態になります。

上記のいずれかに心当たりがある場合は、病気ではなく日常生活の習慣によるむくみである可能性が高いので、心配いりません。

こうしたむくみでお悩みの方は、日々の生活のなかに以下のような血流を改善する習慣を取り入れると、解消が見込めます。

  • 軽い運動やストレッチ、筋トレを習慣化させる
  • 1週間に何度かはお風呂に浸かり、足のマッサージをする
  • こまめに水分を摂り、水分の過不足を防ぐ
  • 塩分量が適量になるよう、食生活を見直す
  • タンパク質、ビタミン、ミネラル豊富な食事をこころがけて、筋肉量を増やす

こんな浮腫は病気の可能性が・・・

足や顔など、身体の一部に一時的に現れるものではなく、全身に重度のむくみが現れている場合は、病気が原因の浮腫である可能性が考えられます。
症状に浮腫が現れる病気としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症など腎臓の病気・疾患
  • 橋本病など、慢性の甲状腺炎・甲状腺疾患
  • 心不全
  • 肝硬変
  • 妊娠高血圧症候群   など

病気によって全身に重度のむくみが出ているときは、内臓にもむくみが出ている可能性が高く、放っておくと内臓が機能不全を引き起こす可能性もあります。病気を疑うようなむくみが出た場合には、すぐに病院で検査を受けてください。

おわりに:浮腫・むくみの原因は1つじゃない!全身性の症状ならすぐ病院へ

日常生活での習慣や体質によるものから、病気が原因のものまで、ひとくちに浮腫・むくみといってもその原因はさまざまです。習慣が原因であれば、生活や食事の内容を見直したり、血流・筋肉量を増やす努力をすれば改善できますが、病気が原因の全身性のものはそうはいきません。病気が原因だと考えられるような全身性の浮腫が出たときは、すぐに病院に行って医師による検査・診断を受けるようにしてください。

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