乳がん検診で石灰化を指摘された!がんの可能性あるってこと?

2018/7/2

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

乳がん検診を受けたときに、医師から「乳腺の石灰化が見られる」といわれて、ドキッとした経験はありませんか?今回は乳がん検診で石灰化を指摘されるケースについて、石灰化とはどういうことか、乳がんとのかかわりや再検査の必要性とあわせて、解説していきます。

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乳がん検診で見つかる「石灰化」とは?

乳がん検診で指摘される「石灰化」とは、母乳が通る管(乳管)や乳腺、また周辺組織に母乳などを分泌する際に発生したカルシウムなどが沈着し、固まったものです。

マンモグラフィーなどの乳がん検診の際に発見・指摘されることの多い所見で、画像上には乳腺に白い塊ができているように映ります。

石灰化の「カテゴリー」って?

石灰化のほとんどは、母乳分泌などの生理現象のなかで発生する良性のものですが、なかには乳がんとの関係が疑われるようなものもあります。

石灰化は、石灰化している粒子のかたちや大きさ、石灰化している範囲などを総合的に観察して、以下のような5つのカテゴリーに分類されます。

カテゴリー1 明らかな良性と考えられる石灰化
カテゴリー2 明らかな良性と考えられる石灰化
カテゴリー3 ほぼ良性と考えられるが、悪性の可能性も否定できない石灰化
カテゴリー4 乳がんであること、または乳がんとの関係が疑われる石灰化
カテゴリー5 乳がんであることが強く疑われる石灰化

上記の通り、カテゴリー1・2は「明らかな良性」と判断され、発見されても次回の健康診断まで経過観察とされるのが一般的です。ただし、カテゴリー3以上では乳がんとの関係が疑われるため、再検査の対象となります。

再検査といわれたときの検査って何をするの?

乳がん検診でカテゴリー3以上の石灰化が見つかり、医師から「速やかな再検査が必要」との判断があった場合には、以下のような流れで再検査を受けることになります。

《1》エコーやマンモグラフィーを使った画像検査
まずは、一般的な乳がん検診と同様、エコーやマンモグラフィーを使った画像検査で、改めて石灰化の大きさやかたち、範囲などを調べなおします。
《2》画像検査の結果を踏まえて、細胞診または組織診を行うことも
画像から石灰化している部分の良性・悪性の判断を付けることが難しかった場合は、石灰化している部分の細胞組織を採取して、詳しく調べる手法が取られます。

石灰化部分の細胞を調べる方法には、「細胞診」と「組織診」の2通りがあります。

「細胞診」とは

石灰化(しこり)の箇所に直径0.7mmほどの注射針を刺して細胞を採取し、この細胞を顕微鏡で調べることで、悪性のがん細胞であるかどうかを確認します。
麻酔なしで、普通の注射を打つのと同程度の痛み・出血で行える検査方法です。

「組織診」とは

石灰化(しこり)の箇所に局所麻酔を施し、ボールペンの芯ほどの太さの針を刺して2cm程度の組織をえぐるように採取して、細胞診より広い範囲の組織を調べます
組織診は診断がつく確率が9割以上と細胞診より高いため、がんかどうかの判断を早急に、確実につけたい場合に使用されることが多い検査方法です。

画像検査と細胞・組織を採取しての検査の両方を行うことによって、一般的な乳がん検診よりも精度が高く、その後の治療計画にも役立つ結果を得ることが期待できます。

おわりに:乳がん検診で石灰化を指摘されても、がんだとは限らない!

石灰化は女性の生理活動で生じやすく、そのほとんどが良性といわれています。このため、乳がん検診で石灰化を指摘されたとしても、必ずしも乳がんだとは限りません。ただし、カテゴリー3以上の石灰化は乳がんである可能性も疑われますので、より詳しい再検査が必要になります。詳細な再検査によって早期の発見・治療開始も見込めますので、乳がん検診で再検査の指示が出たときには、必ず従ってください。

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