いびきは病院の薬で治せるの? 市販の対策グッズでおすすめなのは?

2018/6/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

いびき治療というと、CPAPという器具や、下顎を固定するマウスピースの装着が代表的ですが、薬だけでも治療できるのでしょうか?また、市販のいびき防止スプレーなども有効なのでしょうか?以降で解説していきます。

いびきは薬で治せるの?

いびきを根治させる薬は、今のところありません。ただ、いびきの原因が軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)であれば、下記の薬でいびきの改善がみられることがあります。

アセタゾラミド(降圧利尿剤)
主に緑内障やてんかん、肝性浮腫などの患者に処方される薬です。炭酸脱水酵素を阻害し、血中の酸素量を増やすことで睡眠時無呼吸を改善する効果があるとされます。
メドロキシプロゲステロン(黄体ホルモン剤)
ホルモン療法に使われる種類の薬で、プロゲステロン薬と呼ばれるグループに属します。呼吸を促進する作用があるとされます。

なお、上記のほか、アレルギー性鼻炎の治療薬として処方されるステロイド点鼻薬も、いびき治療に有効な薬として注目を集めています。ステロイドの抗炎症作用は鼻粘膜の炎症を緩和し、鼻の通りを良くするだけでなく、扁桃腺やのどの粘膜の炎症も緩和することから、上気道の拡張作用があると考えられているのです。
しかし、ステロイド点鼻薬は長期間使用すると副作用があることや、使用中止後も効果が持続するのかについてはまだ検証が不十分なため、今後さらなる研究が期待されます。

市販の鼻スプレー薬もいびきに有効?

いびきに悩まされている人の多くは、慢性的な鼻づまりを併発しています。事実、鼻づまりによって鼻粘膜がうっ血している人は鼻腔が狭くなるために、いびきが起こりやすくなります。

そこで有効とされているのが、市販の鼻スプレー薬です。市販の鼻スプレー薬の多くは、血管を収縮させる成分が含まれているため、特に鼻づまりの緩和効果が期待できます。
しかし、こうした血管収縮薬は効能時間が短く、常用していると耐性ができて効きにくくなったり、長期投与によってかえって薬剤性鼻炎を引き起こすリスクもあります。使用前に必ず主治医に相談するようにしてください。

市販のいびき対策グッズでおすすめなのは?

軽度のいびきや軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合は、市販の鼻腔拡張テープや、口に貼ることで口呼吸を防止するマウステープが有効なことがあります。ただ、睡眠中に外れてしまうことも多く効果にも個人差があるので、専門外来でいびきの原因をつきとめ、根本治療を始めることをおすすめします。

おわりに:薬を投与しても一時的な改善にすぎない。いびきの原因を突き止め、根本治療を!

基本的に、いびきを薬だけで治すことはできません。軽度のいびきの場合は、アセタゾラミドなど特定の薬剤の投与で改善するケースもありますが、根本的にはいびきの原因に即した専門治療を進めていく必要があります。特に市販のスプレー薬は過剰使用すると思わぬリスクが生じる恐れもあるので、慢性的ないびきでお悩みなら、まずは専門外来を受診するようにしてください。

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