デンタルフロスの臭いや出血はなぜ起こる?

2018/7/6

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

デンタルフロスを使用した後、糸に付着した臭いにびっくりしたり、使用時に出血が起きてギョッとした経験はありませんか?今回は、そんなデンタルフロスの臭いや出血の主な原因について解説していきます。

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デンタルフロスが臭い!原因は?

使用後のデンタルフロスが臭い原因は、歯間の歯垢が付着しているからです。歯垢には虫歯菌などのさまざまな細菌が含まれており、これらの細菌はタンパク質を分解する際に嫌な臭いを発するようになっています。

そもそもデンタルフロスは歯垢をとるためのものなので、臭くなるのは当たり前ですが、異常に臭い場合は歯周病や虫歯の可能性があります。神経に到達するレベルの酷い虫歯の場合には、歯垢から強烈な腐敗臭がします。また、歯槽膿漏や歯周病などで歯茎に炎症が起きている場合も、歯垢から酸っぱい悪臭がするようになります。

デンタルフロスが臭いのは口臭のサインかも

使用後のデンタルフロスが強烈に臭い場合は、歯垢そのものではなく口臭が原因の可能性も考えられます。歯垢の臭さと口臭の臭さには関連性があり、特に喫煙習慣、加齢、ストレス、消化器系や耳鼻咽喉系の疾患によって口臭はきつくなる傾向にあります。

デンタルフロスの臭いには親知らずが関連している?

口の一番奥に生える親知らずは、口臭のもとになりやすい歯です。これは、ほかの歯と比べて歯磨きがしにくい位置にあり、また横向きや半分埋まった状態で生えていることも少なくないため、歯垢が溜まりやすいからです。

例えば、親知らずと歯肉の間に食べかすが蓄積されて発酵すると、歯茎や歯肉が炎症を起こし、臭い膿を発生させるようになります。また、親知らずだけでなく隣接している歯も十分に磨けていないケースが多いため、虫歯になって悪臭を放ちやすいともいわれています。

デンタルフロスで出血が!何が原因?

デンタルフロスを使い始めたときは、フロスの刺激によって、歯茎の中にうっ血して溜まっていた血液が排出されることがあります。ただ、下記の理由で出血が起きている可能性も考えられます。

歯肉炎

歯肉炎は歯周病になる手前の状態で、歯茎にのみ炎症が起きている段階です。歯肉炎になると、歯茎からの出血、腫れ、口臭などが発生するようになります。

歯肉炎は歯周ポケットにプラーク(歯垢)が溜まり、このプラークに含まれる歯周病菌によって炎症が起きているのですが、30代になってからも歯肉炎が続いていると歯周病に移行するリスクが高くなるといわれています。

デンタルフロスの使い方の問題

歯間が狭いところで無理やりデンタルフロスを入れると、糸が歯肉に食い込んで出血が起きることがあります。力を入れすぎないよう、使い方に注意しましょう。

おわりに:デンタルフロスの臭いや出血が強烈なら、一度歯科へ

使用後のデンタルフロスに付着した臭いは歯垢によるものなので、基本的には心配いりません。ただし、激烈に臭う場合は虫歯や歯周病が発生している恐れがあります。
また、フロスの使い始めの時期は出血が見られることもありますが、慢性的に出血が起きている場合は、フロスの使い方が不適切だったり、歯周病になりかけている可能性があります。いずれも一度歯科を受診し、歯のケアの指導をしてもらうことをおすすめします。

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