「借金をしてでも、パチンコやスロットがやめられない」「子供のために貯めていた学費を、競馬の賭け金として夫に使われた」--こういった行為は、ギャンブル依存症のサインかもしれません。以降ではギャンブル依存症の診断基準や、簡単に行える依存度のチェックリストをご紹介していきます。
ギャンブル依存症とは?
ギャンブル依存症とは、経済的・社会的・精神的な問題が発生するにも関わらず、パチンコやスロット、競馬、競艇などのギャンブルを続けたい衝動が抑えられない病気です。
貯金を使い果たし、嘘をついて身近な人からお金を借りたり、消費者金融で借金をしたり、盗みや詐欺行為に手を染めたりすることで、人間関係のトラブルや破産、違法による懲役、失業、自殺などの深刻な事態に陥ることがあります。
ギャンブル依存症は、「本人の意思が弱いせい」として本人の資質の問題と片付けられがちですが、世界保健機関(WHO)では「病的賭博」、アメリカでは「ギャンブル障害」とも呼ばれる精神障害の一種です。代表的な症状としては、以下のものがあります。
- いつもギャンブルのことを考えている
- ギャンブルをやめようとしてもうまくいかない
- ギャンブルをやめると、イライラしたり、落ち着かなくなったりする
- 現実で嫌な問題があると、それから逃れるためにギャンブルをすることが多い
- ギャンブルで失ったお金を取り戻すために、またギャンブルをすることがある
- ギャンブル依存を隠すために、家族や周囲の人に嘘をついている
- ギャンブルの費用のために、お金を貸してほしいと周囲の人に頼んだことがある
- ギャンブルの影響で、人間関係や仕事などを失ったことがある
ギャンブル依存症かどうかの20問チェック
- ギャンブルのために、仕事や学業が疎かになったことがある
- ギャンブルのせいで、家庭が不幸になったことがある
- ギャンブルのために、自身の評価が低下したことがある
- ギャンブルをした後、自責や後悔の念に駆られる
- 借金の返済や生活費のために、ギャンブルをしたことがある
- ギャンブルのせいで、仕事などの能率や意欲が低下したことがある
- ギャンブルに負けると、「次のギャンブルで負けを取り戻そう」と思うことがある
- ギャンブルに勝っても、「次はもっと大勝ちしたい」と強く感じる
- 一文無しになるまでギャンブルをすることがよくある
- ギャンブルの資金のために、借金をしたことがある
- ギャンブルの資金のために、身の回りのものを売ったことがある
- 必要な支払いがあったとしても、ギャンブルの資金と思うと払いたくないと感じる
- 家族の幸せよりも、ギャンブルを優先してしまうことがある
- 予定していたより長時間ギャンブルをしてしまうことがある
- 辛いことや現実の問題から逃れるために、ギャンブルをすることがある
- ギャンブルの資金のために、法律に触れるようなことをした、あるいはしようと考えたことがある
- ギャンブルにのめり込んで、眠らないことがある
- 誰かと口論になったり、がっかりすることがあるとギャンブルをしたい衝動に駆られることがある
- 良いことがあると、ギャンブルをしてお祝いしようと思うことがある
- ギャンブルが原因で自殺を考えたことがある
このうち、7つ以上当てはまるものがある人は、病的なギャンブル依存症の可能性が非常に高いです。ギャンブル依存症の自助グループや専門の医療機関などに、なるべく早く相談してください。
ギャンブル依存症の診断基準は?
ギャンブル依存症の診断は、アメリカ精神医学界の定めた「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-5)」を元に行われます。
A. 臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き起こすに至る持続的かつ反復性の問題賭博行動で、その人が過去12ヶ月間に以下のうち4つ(またはそれ以上)を示している。
- 興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をする要求
- 賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる、またはいらだつ
- 賭博をするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある
- しばしば賭博に心を奪われている(例:過去の賭博体験を再体験すること、ハンディをつけること、または次の賭けの計画を立てること、賭博をするための金銭を得る方法を考えること、を絶えず考えている)
- 苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、賭博をすることが多い
- 賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い(失った金を“深追いする”)
- 賭博へののめりこみを隠すために、嘘をつく
- 賭博のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある
- 賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を逃れるために、他人に金を出してくれるよう頼む
なお、該当数が4〜5項目は軽度、6〜7項目なら中等度、8〜9項目なら重度のギャンブル依存症と診断されます。
B. その賭博行動は、躁病エピソードではうまく説明されない
おわりに:ギャンブル依存症による悪影響を食い止めるために、早期発見&治療を
ギャンブル依存症は治療をせずに放置していると、徐々に頻度や賭け金が増え、ますます生活が破綻してしまう恐れがあります。そして最悪の場合、本人や巻き込まれた家族が精神疾患を発症したり、自殺に追い込まれる可能性もあります。早い段階で適切な治療やケアを始めることが重要なので、チェックリストで当てはまるものが多かった場合は、すぐに専門外来を受診するようにしてください。
関連記事