記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
HIVの感染経路としては性行為や血液感染、母子感染が有名ですが、それ以外にも感染経路は存在するのでしょうか?また、キスや歯ブラシの共用など、日常的な行為で感染することはあるのでしょうか?以降で解説していきます。
HIVの感染経路のうち、性行為による感染は最も多く、感染経路別のHIV感染者・エイズ患者数のデータでは、同性間性的接触が68%、異性間性的接触が19%となっています(エイズ発生動向調査:参照)。
HIVは主に感染者の血液・精液・腟分泌液に多く存在するため、性行為中に相手の性器・肛門・口などの粘膜や傷口に侵入することにより、感染します。そのため、性行為による感染を防ぐためには、コンドームを正しく使用することが大切です。
そのほか、血液を介して感染したり、母子感染する可能性もあります。
HIV感染者の輸血や、注射器具の共用をすると、血液を介して感染します。現在日本では、献血された血液はその後、厳重な検査をすることで安全を確保していますが、感染の可能性をゼロにすることはできません。ただし、血液凝固因子製剤は加熱処理がされているため、感染の恐れはないとされています。
万が一HIV感染者の血液による事故が起きた場合には、2時間以内に抗HIV薬の予防内服を行い、感染するリスクを低下させる処置を行います。
母親がHIV感染者の場合は、妊娠中や出産時に赤ちゃんに感染する恐れがあります。また母乳を通して感染することもあるため、日本では、母親のHIV治療薬の服用や、母乳を与えないようにすることで、赤ちゃんへの感染率を1%以下に抑えるようにしています。
HIVは、空気や水にさらされると感染力がなくなるため、日常生活、職場、家庭、学校などで感染する可能性はとても低いとされています。そのため、以下のような行為をしても感染する恐れはありません。
唾液に含まれているHIVの量はごくわずかのため、唾液を介して感染することはありません。唾液を通して感染するには、バケツ4~5杯ほどの唾液の量が必要になるからです。
そのため、感染者とディープキスや普通のキスをしても、感染することはないといわれています。
ただし、HIVは血液を通して感染することがあるため、感染者の口内に傷があるような場合に相手とディープキスをすると、血液を介して感染する恐れがあります。
そのため、歯磨きや口内炎などにより口内が傷ついている時には、注意する必要があります。
HIVは血液を通して感染するので、感染者の血液が付着している物を他の人が使うと、感染する恐れがあります。血液が付着しやすいカミソリ・歯ブラシ・タオル・くし・ピアスなどは、感染者が使用する物とは別々に使用するようにしましょう。
HIVの感染は主に性行為によるものが多く、他には輸血や、注射器具の共用による血液感染や母親から赤ちゃんへの母子感染などの感染経路があります。HIVは、空気や水にさらされると感染力が失われるため、日常生活、職場、家庭、学校などで感染する可能性はとても低いです。また、キスや歯ブラシで感染することも基本的にはありませんが、口内に傷がある場合や、感染者の使用物に血液が付着している場合は感染する恐れがあるため、注意しましょう。