記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
借金があっても、家族にいくら注意されてもギャンブルがやめられなくなってしまう「ギャンブル依存症」。このギャンブル依存症を病院で治療する場合は、どんなことが行われるのでしょうか?また、治療の費用はどれくらいかかるのでしょうか?
薬物依存やアルコール依存症の場合は、渇望を抑える治療薬が開発途上ですが、ギャンブル依存症に対して有効とされる治療薬は確立していません。そもそも、ギャンブルのために今までついてきた嘘や家庭を壊してしまったこと、自責の念や自殺願望といった心理的な問題は、薬で解決する類のものではないからです。
ただし、下記のような心理療法はギャンブル依存症の治療に有効と考えられています。
ギャンブル依存症は本人だけでなく、その家族にも多大なストレスや不安をもたらすことが多いため、ご家族の方も自身の回復のために精神療法などが必要になることもあります。また、家族が関わり方を変化させることでギャンブル依存症が改善しやすくなるケースも多いことから、専門機関での家族トレーニングが有効ともいわれています。
ギャンブル依存症の治療の費用は、「病的賭博」などの診断名がつく場合は基本的に保険が適用され、3割負担で治療が受けられます。おおよその目安ですが、初診時にかかる費用は初診料や検査費などを含め、おおよそ2000〜6000円程度です。もし施設での入院が必要になった場合は、月に16〜20万円程度必要になるのが一般的です(3割負担の場合)。
なお、75歳以上の方は長寿医療制度の対象となるため、1割の自己負担額で治療を受けることができます(収入が一定水準より多い方を除く)。また、精神疾患で通院による精神医療を続ける必要があると認められた場合は、「自立支援医療制度」のもと、通院費用を軽減できる(1割負担)ことがあります。
先述のように、病院での治療では多少費用がかかってしまうのは事実ですが、病院以外にも「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」などの自助グループで支援を受けるという手もあります。自助グループとは、同じ依存症の問題を抱えた人たちが当事者の意思で結びついた集団で、グループメンバーと体験を共有することを通じて、自分自身の問題を直視し、変化させていくことを目的としています。
こうした自助グループには、基本的に無料で参加が可能です(ただし献金という形で、あくまで自発的に、ミーティング参加の際に100〜1000円程度のお金を支払うケースが多いです)。
ギャンブル依存症の治療法は確立されていませんが、認知行動療法などの心理療法を実施すると改善しやすい傾向にあります。病院での治療は保険適用内で受けられますが、お金が全くない人の場合は、第一歩としてGAなどの自助グループのミーティングに参加してみるのも手です。ぜひ参考にしてください。