記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/11
記事監修医師
前田 裕斗 先生
卵巣の一部にできた袋状の腫瘍内に、液体が溜まってしまう「卵巣嚢腫」。この卵巣嚢腫は薬の服用で治せるものなのでしょうか?また、手術は必要なのでしょうか?卵巣嚢腫の治療法について解説していきます。
卵巣嚢腫の治療を行う際は、嚢腫の種類・大きさ・年齢・妊娠や出産の希望などを医師に伝えて、状況や症状に応じた治療法を選択することが大切です。
一般的には、2~3cmほどの小さめの嚢腫の場合は、定期健診などの経過観察を行います。嚢腫が5~6cm以上の大きさの場合や、悪性の可能性がある場合には手術が必要で、嚢腫のみを摘出する「嚢腫摘出術」や、嚢腫が大きい場合や他の臓器との癒着がある場合は「付属器摘出術」を行います。なお、卵巣は二つあるため、手術で片方を摘出してももう片方の卵巣の働きにより妊娠は可能です。
卵巣嚢腫の治療では薬物療法は行わず、手術療法が基本となります。(ただしチョコレート嚢腫だけは薬物療法が第1選択)
手術では原則として、嚢腫部分のみを摘出するため、卵巣機能にはさほど影響しないとされています(ただし、嚢腫のサイズが大きい場合は卵巣機能の低下が起こる可能性があります)。手術は、嚢腫が6cm以上の場合に適用され、開腹および腹腔鏡により行われます。
悪性腫瘍の有無を調べるためにはまず、以下のような検査を行います。
以上の検査の結果、悪性腫瘍の可能性が低いと診断された場合は、1~3ヶ月後(月経周期を考慮して決める)に再び診察を行い、その後は3~6ヶ月おきに経過観察を行います。
腹腔鏡下手術は、傷が小さい・痛みが少ない・回復が早いなどのメリットがあるため、卵巣嚢腫の手術で行われることが多くなっています。
嚢腫の大きさ、年齢などを考慮して、卵巣の全摘出or部分摘出や嚢腫摘出の選択ができます。妊娠を希望する人は、片方の卵巣を残せば将来的な妊娠が可能です。
また、手術後に起こる合併症の癒着(通常離れている組織がくっつく状態)は腸閉塞などの原因となる可能性がありますが、開腹手術と比較すると腹腔鏡下手術は癒着が少ないとされています。
卵巣嚢腫は20~30代の若い女性の発症率が高いため、妊娠や出産を希望している人には非常に大切な治療になります。
そのため、手術のタイミングや治療方法、卵巣の摘出の有無など、わからないことや心配事、希望などがあれば遠慮せずに担当の医師に相談しましょう。リスクなどを含め、患者さんが納得して治療を受けることが大切です。
卵巣嚢腫の治療では薬物療法は行わず、手術療法が基本となります。卵巣嚢腫の治療を行う際は、嚢腫の種類・大きさ・年齢・妊娠や出産の希望などを医師に伝えて、状況や症状に応じた治療法を選択することが大切です。
特に妊娠や出産を希望している人には非常に大切な治療になるため、手術のタイミングや治療方法、卵巣の摘出の有無など、わからないことや心配事、希望などがあれば遠慮せずに担当の医師に相談しましょう。