記事監修医師
前田 裕斗 先生
2019/7/19
記事監修医師
前田 裕斗 先生
「アソコが猛烈にかゆくて、仕事に集中できない!」
「酒かすみたいな白いおりものがポロポロ出る…」――こうした女性のデリケートゾーンのトラブルの原因として考えられるのが腟カンジダ。
腟カンジダは「治った! 」と思っても再発してしまうやっかいな病気です。でも、再発の場合はわざわざ病院に行かなくても、市販薬で治療できることを知っていますか?
この記事では、薬局で見かけることが多い、大手製薬メーカー4社の腟カンジダ治療薬の特徴をご紹介します。
腟カンジダは、人間の皮膚や粘膜に生息する常在菌「カンジダ菌」が、腟の中で異常増殖したためになる病気です。健康な女性の体にもいる菌なので、誰でも腟カンジダを発症する可能性があります。実際、女性の5人に1人は腟カンジダを経験したことがあるそうです。
カンジダ菌は、普段は他の常在菌とのバランスがとれているので、腟内で増えすぎてしまうことはありません。でも、疲れやストレスがたまったり、風邪などで免疫機能が低下したりするとバランスが崩れ、カンジダ菌が急激に増殖して腟カンジダになってしまうのです。
また、
などが原因で発症することもあります。
ちなみに、腟カンジダは夏や冬に発症することが多い病気です。夏はデリケートゾーンが蒸れやすく、冬は年末年始の慌しさで疲れやストレスを溜めやすいことが影響しているのではないかと考えられています。
また、腟カンジダは性行為でうつることがあるので性病と勘違いされがちですが、腟カンジダは性病ではないということを知っていますか?
腟カンジダ=性病という間違ったイメージから、恥ずかしさや後ろめたさを感じてしまう人も多いと聞きますが、そのようなマイナスイメージは持たないようにしてください。気になる症状があるとき(特に初めてのとき)は、恥ずかしがらずに婦人科に相談しましょう。
腟カンジダの代表的な症状には、以下のようなものがあります。
腟カンジダは、一度発症した人のうち半数以上が再発するといわれています。「腟カンジダを再発した人のうち、およそ4割が1年以内に2回以上腟カンジダを発症している」という研究結果もあるようです。
初めて腟カンジダを発症した場合、病院できちんと診てもらった上で薬を処方してもらう必要がありますが、以前に医師から腟カンジダの診断・治療を受けたことがあるなら、再発したときは薬局や通販で売っている市販薬で治すこともできるのです。
腟カンジダの市販の再発治療薬は、さまざまな製薬メーカーから販売されています。 ただ、デリケートゾーンの悩みなので「腟カンジダの市販薬、使ったことある?どんな違いがあるの?」とは、聞きづらいですよね。
そこで、薬局やドラッグストアで買える市販の膣カンジダ再発治療薬のメーカー別の特徴をmedicommi編集部独自の見解でまとめてみました。
ロート製薬は、日本初のOTC医薬品の妊娠検査薬や排卵日検査薬を世に送り出すなど、女性のための商品づくりに力を入れている会社です。
フレディ®ブランドは、デリケートゾーンの悩みがあるけど「病院に行くのが恥ずかしい」「忙しくて病院に行く暇がない」といった女性の声に応えるために新たに生まれました。ちなみにフレディ®という名前には、「フレーフレー+レディ」という“ 女性を応援する ”意味がこめられているそうです。
アプリケーター付きの腟錠はタンポンと同じ感覚で使えるので、初めての人でも錠剤を入れやすいです。また、アプリケーターのパッケージ(内袋)には商品名が書いていないので、そのまま捨てても薬の名前がゴミ袋から透けにくいということも、女性にとってはうれしいポイントかもしれませんね。
クリームタイプで伸びが良く、乾いた後もベタつかず、サラサラした状態が続くのがうれしいポイントです。
エンペシド®Lは、もともとドイツの製薬会社であるバイエル薬品が、医療用医薬品エンペシド®として販売していたものを、佐藤製薬が提携してOTC医薬品として販売するようになった腟カンジダ治療薬です。バイエル薬品は世界的に有名な腟カンジダ治療薬カーネステン®を販売する会社として知られています。
エンペシド®Lは、腟カンジダのOTC医薬品の中で唯一の発泡タイプの錠剤で、有効成分が腟全体に行きわたりやすいのが特徴です。また、ほとんどの腟カンジダの原因菌であるカンジダアルビカンスに高い抗菌作用を発揮するクロトリマゾールが配合されているのも、多くの人が効果を実感しやすいポイントといえます。
クリームタイプも腟錠と同じクロトリマゾールを配合しています。においがほとんどなく、無着色でやわらかくのびやすいのが特徴です。
また、エンペシド®Lは消費者の声をもとに、ひと目で商品の特徴が伝わるパッケージに変えているそうです。さらに、店頭販売にも力を入れていて、商品サイトで住所を入れると最寄りの取扱店舗を見つけることもできます(在庫切れの可能性もあるので、購入前に店舗に問い合わせることをおすすめします)。
メディトリート®は、ミコナゾール硝酸塩を有効成分とする腟カンジダ治療薬で、腟坐剤とクリームタイプの2種類があります。外陰部の症状だけならクリームだけで効果が得られますが、腟にも症状が出ている場合は、クリームと腟坐剤を併用するようにしましょう。
クリームタイプはベタつきがなく塗り広げやすいのが特徴です。
腟坐剤はハードファットタイプ(油性の固形の錠剤)のため体温で溶けてすばやく有効成分が広がります。また小型で挿入しやすい形状で作られているのもうれしいですね。初めての人でも有効成分を腟の奥まできちんと届けやすいようになっています。
さまざまな特徴を持つ腟カンジダ治療薬ですが、いざ薬局で購入するときになると「結局どれを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。
ここでは選び方のポイントをいくつかご紹介します。
膣カンジダ再発治療薬には腟錠タイプ・腟坐剤タイプとクリームタイプの2種類があり、それぞれで効果が違ってきますので、下記のように症状にあわせて使い分けるのもいいでしょう。
ただ、自分で判断するよりも薬剤師さんに相談して選ぶことをおすすめします。
という人に特におすすめなのは、アプリケーター付きのメンソレータム®フレディ®CC 腟錠Aです。タンポンを入れる感覚で使えるので、初めてでも腟錠を正しい位置に入れやすいです。
また、アプリケーター付きではありませんが、アーモンド状のフェミニーナ® 腟カンジダ錠や小型で挿入しやすい形状の腟坐剤メディトリート®も、腟カンジダ治療薬を使い慣れていない人には良いかもしれませんね。
夜勤や外泊先で腟カンジダの市販薬を使う場合、気になるのが使用済みのパッケージ(内袋)ですよね。同僚や友だちにカンジダ治療薬を使った、と気づかれてしまうのは避けたいものです。
こんなときは、メンソレータム®フレディ®CC 腟錠Aがいいかもしれません。
アプリケーターやパッケージ(内袋)には商品名が書かれていないので、そのまま捨ててもカンジダ治療薬とは気づかれにくいです。
市販の腟カンジダ薬を使用する際は、次の点に注意してください。
市販の腟カンジダの治療薬を購入できるのは、過去に病院で腟カンジダの診断・治療を受けたことがある人だけです。
これは、
ためです。
初めて発症したときは、市販薬を使うのではなく、必ず医師に診てもらいましょう。また、自分では再発と思っていたら腟カンジダではなかったということもあります。気になる点があれば改めて病院に行くようにしてください。
薬局や通販などで腟カンジダの市販薬を購入する場合、チェックシートを記入の上、薬剤師さんからの説明を受ける必要があります。詳しくは、各メーカーの公式HPをご覧ください。
腟錠の挿入やクリームを塗る前に、必ず手をきれいに洗いましょう。また、薬を使い終えた後も忘れずに手を洗ってください。
腟カンジダの市販薬は、基本的に6日間続けて使用しますが、途中で生理になってしまったら使用を中止してください。これは経血で薬剤が流れ出てしまうと、十分な効果が得られなくなるからです。生理予定日も考慮に入れつつ薬を使い始めましょう。
腟カンジダは性行為でパートナーに感染させる恐れがあるため、薬の使用中は性行為をしないでください。
腟カンジダの程度によりますが、基本的には市販薬を使ってから3日目くらいから症状がよくなり始めます。
しかし
症状が重いか、別の病気の可能性があります。
また、腟カンジダが前回の発症から2カ月以内に再発したり、半年以内に2回以上再発したりしている場合も、別の病気の可能性があります。いずれの場合も、早めに病院を受診してください。
外陰部にカンジダ治療薬以外の一般的な皮膚用のかゆみ止めを使用すると、症状の悪化や治療の遅れにつながる可能性があります。このため、腟カンジダの治療薬を市販のかゆみ止めやステロイド薬などと併用するのは控えてください。
腟カンジダが原因で外陰部にかゆみがあるときは、クリームタイプの腟カンジダ治療薬を使うようにしましょう。
抗生物質の服用は、腟カンジダ発症の原因のひとつです。抗生物質を服用すると、体内の常在菌のバランスが崩れてしまうため、腟内のカンジダ菌が増殖しやすくなります。抗生物質を医師から処方されている場合は、市販の腟カンジダ治療薬は使わないでください。
今回ご紹介した市販薬はいずれもユーザーからの人気が高く、効果や使い心地のよいものばかりです。忙しくて病院に行く時間がなかなかとれないイマドキ女性の腟カンジダ治療薬として、きっと心強い味方になってくれるはずです。
市販の腟カンジダ治療薬はどれを買っても同じように思えますが、少しずつ特徴は違ってきます。症状や使用するときのシチュエーションを考慮に入れつつ、薬剤師さんと相談しながら、自分に合った薬を選びましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。