記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
現在ではC型肝炎になっても、適切な治療を受けることができれば約95%以上は完治が可能といわれています。ただし、そのためにはウイルスの「型」を知ることが必要です。今回は、C型肝炎ウイルスについてや型の違いなどをご紹介します。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染している人の血液が、他の人の血液中に入ることで感染するといわれています。具体的には、主に以下の感染経路があります。
現在は検査体制が整っていることもあり、1992年以降は輸血による感染は大幅に少なくなったといわれています。また、医療現場での注射器などの使いまわしや滅菌処理なども十分に配慮がされています。一方で、最近では覚せい剤など薬物乱用による注射の使いまわし、またピアスの穴開けなどによる感染がみられます。
C型肝炎ウイルスに感染後は、ほとんど自覚症状が現れないこともC型肝炎の特徴のひとつです。ただし感染者のうち、約20~30%程度の人に全身倦怠感や嘔吐、悪心、黄疸などの症状がみられ、「急性肝炎」を発症します。このように自覚症状がない場合や急性肝炎になった場合でも、ウイルスが自然に排除されると免疫が得られるため、再びC型肝炎ウイルスに感染することはないと考えられています。
一方でウイルスが自然に体内から排除されなかった場合には、持続感染(キャリア)と呼ばれる状態になります。持続感染者は自覚症状のない人を合わせると約70%に及び、このうち一部の人は肝炎が約6ヶ月以上続く「慢性肝炎」になるといわれています。
その後は約20年を経て、約30~40%の人が肝機能が著しく低下する「肝硬変」、さらには「肝がん」へと進行していきます。
1年間に肝がんを発症する人の割合は、慢性肝炎から肝硬変へと段階が進むごとに高くなることが知られていますが、最近では高齢の人の場合は肝硬変になる前に肝がんになるケースがあることもわかってきています。
また病気の進行には年齢が関係し、男性では60歳以降、女性の場合には70歳以降に肝硬変になる場合が多いとされ、糖尿病や飲酒などで肝臓に脂肪が溜まると、慢性肝炎や肝硬変などの進行が早くなることが知られています。
C型肝炎ウイルスには、それぞれ遺伝子の型(ジェノタイプ)があります。主にそのウイルスがもつ遺伝子の違いによって1型(1a、1b)、2型(2a、2b)にわけられ、日本人の場合には約70%を「1b型」が占めています。また、2a型、2b型はそれぞれ約20%と約10%で、1a型はほとんどみられないとされています。
C型肝炎を治療する方法は、主に抗ウイルス療法と肝庇護(かんひご)療法の2通りあります。
このうち、最近主流となっている抗ウイルス療法(インターフェロンフリー治療)においては、ウイルスの量や遺伝子の型の違いが治療の効果を大きく左右しているとされていて、1型(1a、1b)、2型(2a、2b)のそれぞれの型に合った抗ウイルス薬を使用することで、より高い効果が期待できると考えられています。
また反対に、自分が感染している遺伝子の型をきちんと調べずに、自分のもつウイルスに効果のない抗ウイルス薬を服用した場合、他の薬の効果がみられなくなる可能性が高くなるといわれています。
結果的に自分に最も合う抗ウイルス薬が効きにくくなる可能性が出てくるのです。C型肝炎になった場合は、病院できちんと検査をしてもらい、自分に合った抗ウイルス薬で医師の指示通り治療を続けることが大切です。
C型肝炎に感染しても、ほとんどの場合は自覚症状が現れません。しかしその多くは年数を経て、慢性肝炎や肝硬変などに進行していきます。早期に検査を受けて自分のもつウイルスの遺伝子の型を特定し、それに合った抗ウイルス薬で治療することが重要になってくるので、少しでも感染の可能性があると思う場合は早めに検査を受けておきましょう。