記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
近年ではC型肝炎治療薬の開発が大幅に進み、C型肝炎は治る病気になりつつあることをご存知でしょうか?今回は、そんなC型肝炎治療薬について、今と昔の変化を交えながらお伝えしていきます。
通常、ウイルスやがん細胞などが体内に入り込んだときには、免疫が働いて体温を上げたり抗体を作ります。インターフェロンとはこの免疫反応において細胞が分泌する、蛋白質の一種です。
インターフェロンには、α、β、γ、ωの4種類があり、それぞれ性質や働きが異なります。
このうち、αとβにはウイルス抑制作用があります。γ型には免疫作用を強める働きがありますが、抗ウイルス作用に弱いという特徴があります。
そして、慢性肝炎の治療では、遺伝子組み換え型インターフェロンα2a、α2b、天然型インターフェロンα、βの4種類が主に使用されます。
蛋白質の一種であるインターフェロンは、体内ですぐに分解されるため、効果を得るためには定期的に投与を続ける必要があります。
2ヶ月ほど入院し、点滴静注または静脈注射で投与します。
2週間ほど入院し、筋肉注射で毎日300~1000万(国際単位:IU)を投与します。退院後は通院し、週2回の投与を22週間ほど続けます。
また、天然型インターフェロンαは自己注射が認められており、夜に自分で注射を行うことで、日中の副作用を抑えることができたり、通院回数が2週間に1度で済むなどのメリットがあります。
インターフェロンは体内で産生される物質ですが、治療では多くの量を必要とするため、副作用が強く出る傾向があります。
副作用の症状は、初期(治療開始~2週)・中期(2週~3ヶ月)・後期(3ヶ月以降)で異なり、特に初期は急激なインターフェロンの増加に体が追い付かないため、様々な症状が現れるとされています。
副作用としては、発熱や全身の倦怠感がほぼ全員に見られ、頭痛・筋肉痛・食欲不振なども起こることがあります。ただ、体が慣れるにつれ症状は軽快するとされており、解熱鎮痛剤の坐薬や内服薬を使用して症状を抑えることも可能です
しかし、白血球や血小板の大幅な減少や、糖尿病の悪化、重度のうつ病、甲状腺の異常などが起きた場合は、治療を中止する必要があるため、これらの症状が起きた時には早めに医師に相談しましょう。
C型肝炎ウイルスを排除するため「抗ウイルス薬」を使用し、ウイルスの増殖を抑えます。飲み薬が基本となり、3~6ヶ月間服用を継続します。
また現在は、直接作用型抗ウイルス剤(DAAs:direct acting antivirals)という経口薬の使用が可能になり、インターフェロンを用いない治療法(IFNフリー治療法)を受けることができます。
2015年に発売された薬で、セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎やC型代償性肝硬変のウイルス血症に対して効果を発揮するとされています。
近年は、持続的ウイルス陰性化(SVR)率を向上させたテラプレビル(商品名:テラビック®)、シメプレビル(商品名:ソブリアード®)などが治療に使われています。
2017年に発売された薬で、C型慢性肝炎やC型代償性肝硬変のウイルス血症に対して効果を発揮するといわれています。
慢性肝炎の治療では、遺伝子組み換え型インターフェロンα2a、α2b、天然型インターフェロンα、βなどの、インターフェロンと呼ばれる細胞が分泌する蛋白質の一種の投与が行われます。このインターフェロン治療では副作用が強く出る傾向がありますが、近年では副作用がほとんど出ないインターフェロンフリー治療が登場し、多くの患者がC型肝炎を治療できるようになっています。
ただし、ウイルスの型や患者の年齢、状態によって適した治療法は異なるので、主治医と相談し、自分に合った治療を選択していきましょう。