記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/13
記事監修医師
前田 裕斗 先生
卵巣の一部に袋状の腫瘍ができ、その中に漿液や血液、脂肪が溜まっていき卵巣捻転などを引き起こす可能性のある卵巣嚢腫。手術による治療が可能ですが、再発することはあるのでしょうか。
今回は卵巣嚢腫の中でも特に再発しやすいチョコレート嚢腫について、再発可能性と効果的な再発予防策をあわせてご紹介していきます。
卵巣に袋状の腫瘍ができ、体液や血液が溜まってしまう卵巣嚢腫のうち、特にチョコレート嚢腫と呼ばれる病気は再発率が高いといわれています。
チョコレート嚢腫とは、月経のたびに卵管を伝って経血が逆流して卵巣の中に血が溜まっていく病気で、血の入った嚢腫は時間とともにどんどん大きくなっていきます。嚢腫が大きくなると強い月経痛や腹部の違和感・圧迫感、また卵巣捻転による激しい痛みを起こすことがあります。
治療はホルモン療法が主体ですが、大きいものでは手術を行った方がよい場合もあります。
ただし、手術で嚢腫を摘出したとしても、ホルモン療法を行わなければチョコレート嚢腫の再発率は非常に高いと報告されています。チョコレート嚢腫は一度摘出すれば安心というわけではなく、再発予防に術後の治療も必要な極めて再発率の高い病気なのです。
卵巣を温存しつつ、チョコレート嚢腫の再発を予防するには、継続的な産婦人科医院への通院と医師による経過観察、治療が欠かせません。
嚢腫の摘出手術とホルモン治療を受けると、一旦は重い生理痛などの症状が改善されます。
このように症状がなくなると通院が煩わしくなり、自己判断で経過観察と治療をやめてしまう患者も少なくありませんが、これは大きな間違いです。
ほとんどの場合、症状が良くなるのは一時的で、治療を中断してから数か月後には重い生理痛が再開したり、嚢腫が再発するというケースも多いのです。
また、再発したチョコレート嚢腫が前回とほぼ同じ位置だった場合、再手術の難易度は高くなり、注意深く手術しても卵巣の機能低下など後遺症がのこる可能性も高くなります。
チョコレート嚢腫の再発を予防するには、定期的な産婦人科への通院と経過観察を続けること、そして医師の指示を守ってホルモン治療を続けることが大切です。
婦人科系の病気のなかでも、チョコレート嚢腫は再発しやすい病気です。手術での嚢腫摘出やホルモン治療で症状を改善させることは可能ですが、再発すると1度目のような治療は難しくなります。卵巣嚢腫の再発は産婦人科にきちんと通い、医師の指示に従ってホルモン治療を続けることで予防できます。手術で症状が良くなったからといって油断せず、再発予防のための通院は必ず続けてください。