性病(性感染症)の治療や検査の費用はどれくらいかかるの?

2018/7/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

性病(性感染症)の治療や検査にかかる費用は、性病の種類や治療法、保険診療か保険外診療か、また医療機関によって異なります。今回は主な性病の治療や検査にかかる費用の、おおよその目安についてご紹介していきます。

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性病(性感染症)の治療・検査費用:クラミジアの場合

クラミジアが疑われる場合、尿や腟ぬぐい液(咽頭感染の可能性がある場合は咽頭周辺のうがい液)などを採取して感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、主に下記の抗生物質を1日〜1週間服用して治療をしていきます(肝臓周囲や骨盤内まで炎症が広がっている場合は、点滴治療が実施されます)。

  • マクロライド系(ジスロマック®、クラリシッド®など)
  • テトラサイクリン系(ミノマイシン®、ビブラマイシン®など)
  • ニューキノロン系(クラビット®、オゼックス®、トスキサシン®など)

クラミジアの治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:3000円前後
治療費用:2000円前後
保険外診療の場合
検査費用:4000〜8000円前後
治療費用:10000〜15000円前後

性病の治療・検査費用:淋病の場合

淋病が疑われる場合、尿や尿道からの膿、腟ぬぐい液(咽頭感染の可能性がある場合は咽頭周辺のうがい液)などを採取して感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、静脈注射や筋肉注射、点滴などで下記の薬を投入し、治療をしていきます。

  • セフェム系(ロセフィン®など)
  • アミノグリコシド系(トロビシン®など)

淋病の治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:3000円前後
治療費用:2000円前後
保険外診療の場合
検査費用:4000~8000円前後
治療費用:10000~20000円前後

性病の治療・検査費用:性器ヘルペスの場合

性器ヘルペスが疑われる場合、病変部分からウイルス感染細胞を綿棒で採取し、感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、主に下記の薬を5~10日間服用・塗布して治療をしていきます(重症の場合は、点滴治療が実施されます)。

  • 抗ヘルペスウイルス内服薬(バルトレックス®、ファムシクロビル)
  • 軟膏薬(アラセナ®)

性器ヘルペスの治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:2000円前後
治療費用:2000〜3000円前後
保険外診療の場合
検査費用:8000円前後
治療費用:10000~20000円前後

性病の治療・検査費用:カンジダの場合

カンジダが疑われる場合、男性の場合は亀頭周辺の菌の採取、女性の場合は外陰部や腟の症状から感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、主に下記の薬を1〜2週間使用、さらに女性の場合は通院での腟洗浄をしながら治療をしていきます。

  • イミダゾール系真菌薬の腟錠・軟膏(エンペシド®、オキナゾール®など)

カンジダの治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:2000円前後
治療費用:2000円前後
保険外診療の場合
検査費用:8000円前後
治療費用:3000~10000円前後

性病の治療・検査費用:梅毒の場合

梅毒が疑われる場合、血液検査と症状の視診から感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、主にペニシリン系の抗生物質(サワシリン®)を2~12週間服用し、治療をしていきます。服薬期間は重症度によって異なります。

梅毒の治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:3000円前後
治療費用:3000円前後
保険外診療の場合
検査費用:8000円前後
治療費用:10000円前後

性病の治療・検査費用:トリコモナスの場合

トリコモナスが疑われる場合、尿や尿道からの膿、腟ぬぐい液などを採取し、感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、主に5-ニトロイミダゾール系の治療薬(フラジール®)を約10日間服用し、治療をしていきます(女性の場合は腟錠を使用することもあります)。

トリコモナスの治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:2000円前後
治療費用:2000円前後
保険外診療の場合
検査費用:8000円前後
治療費用:10000円前後

性病の治療・検査費用:尖圭コンジローマの場合

尖圭コンジローマが疑われる場合、患部の視診や病変部分のウイルス感染細胞の採取によって、感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、電気メスや炭酸ガスレーザーなどによる切除手術を行います(軟膏を塗布する場合もあります)。なお、一度の手術で完治させるのは難しいため、手術は複数回行うのが一般的です。

尖圭コンジローマの治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:2000円前後
治療費用:2000〜3000円前後
保険外診療の場合
検査費用:10000円前後
治療費用:5000〜10000円前後

性病の治療・検査費用:エイズの場合

エイズが疑われる場合、採血によるHIV抗体スクリーニング検査によって、感染の有無を検査します。
この検査の結果、感染が確認された場合は、HIV(エイズウイルス)の増殖を抑制する抗HIV療法を行っていきます。毎日抗HIV薬を服用することで、徐々にウイルス量を減らしていきます。

エイズの治療・検査費用の目安は、下記の通りです。

保険診療の場合
検査費用:2000〜3000円前後
治療費用:50000~70000円前後(ひと月あたり)
保険外診療の場合
検査費用:8000〜20000円前後
治療費用:150000~200000円前後(ひと月あたり)

なお、保健所でも事前予約すれば、無料で検査を受けられます。詳しくはお近くの保健所にお問い合わせください。また、所得に対して医療費が一定額を超えた場合は、高額療養費制度などの医療助成制度を受けられることがあります。

おわりに:医療機関によって治療費用の設定はかなり異なる。事前に問い合わせを

ご紹介したように、保険内診療か保険外診療かによって、性病の治療や検査にかかる費用は大きく異なります。病院やクリニックによって設定金額は異なるので、受診前に一度、ご希望の医療機関に詳細な検査費用や治療費用について問い合わせることをおすすめします。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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