性病の初期症状は風邪と似ている!? いつから初期症状が現れるの?

2018/7/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

頭痛や発熱、喉の痛みなどが現れると「風邪かな?」と思う方は非常に多いですが、実は性病(性感染症)の初期にも風邪のような症状が起きることがあります。初期症状が現れる時期を含め、詳しく解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

性病(性感染症)の初期症状は風邪と似ているって本当?

性病(性感染症)の中でも、エイズの原因ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した場合、初期症状として風邪のような症状が起こることがあります。

HIVは人の免疫力を低下させるウイルスで、感染してから未治療のまま放置していると、免疫力が徐々に低下し、エイズ発症に至ります。HIV感染後の初期症状は、以下の通りです。

  • (39℃以上の)発熱
  • 頭痛
  • 喉の痛み
  • 関節痛
  • リンパ節の腫れ など

これらの初期症状は数日〜10週間程度続き、多くの場合自然に治っていくのが特徴です。その後無症状の時期が続きますが、この間もHIVは増殖を続けており、病原体への抵抗力を担うリンパ球の破壊が進んでいくことで、日和見感染症や悪性腫瘍、神経障害などさまざまな病気を引き起こすようになります。

HIVの初期症状はいつから現れる?

先述の風邪のような初期症状は、HIVに感染してから2〜4週間後に現れるものです。

なお、HIVの主な感染経路は「性行為による感染」「血液感染」「母子感染」の3つで、日本国内で最も多いのは性行為によるものです。具体的にはセックスやアナルセックス、オーラルセックスによって、粘膜や傷口からHIVが侵入することで感染します。
風邪のような初期症状が現れる2〜4週間前に、不特定の相手とコンドームなしでの性行為をした方は特に要注意です。

性病の初期症状で下痢が起こることもある?

近年日本国内では、下痢を引き起こす性病の「アメーバ赤痢」に感染する男女が増加傾向にあります。

アメーバ赤痢は、感染者の糞便に排出された赤痢アメーバという原虫が、口を介して感染を広げていく病気で、赤痢菌が原因の赤痢とは別のものです。具体的には、オーラルセックスやリミング(肛門を舐める行為)によって感染する恐れがあります。

原虫・赤痢アメーバの潜伏期間は2〜3週間で、発症すると以下のような症状を引き起こします。

  • 下痢
  • 粘血便
  • 排便するものがなくても便意を催す
  • 排便時の下腹部痛 など

なお、炎症が肝臓にまで広がった場合は、39℃以上の発熱や上腹部痛、肝腫大を引き起こすこともあります。ただ、実際に症状が現れる人は少なく、感染者の10〜20%程度しか自覚症状が現れないといわれています。

おわりに:性行為後の風邪症状や下痢は性病のサインかも?

不特定の相手との性行為から2週間ほど経った後、風邪のような症状が長く続いたり、下痢が起きるようになった場合は、ご紹介したような性病に感染している可能性があります。性病は放置していると重症化する恐れもあるので、少しでも疑いがあれば、早めに専門の医療機関で検査を受けるようにしてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

頭痛(190) 下痢(158) 性病(21) HIV(22) エイズ(19) 風邪(101) 発熱(70) アメーバ赤痢(3)