うつ病を克服するためにどんなことをすればいいの?

2018/7/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

一日中気分が落ち込んでいたり、何をしていても楽しめなくなったりしてしまううつ病。回復までに時間がかかる心の病気ではありますが、克服のためにはどんなことをするのが有効なのでしょうか?

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うつ病克服の第一歩は、うつを自覚すること

うつ病克服の第一歩として知っていただきたいことは、自分自身がうつ病ではないかと疑い、うつ病であるという自覚を持つことです。

うつ病は専門的なガイドラインがあるとはいえ、専門医でも診断が難しい病気となります。身体的な症状として疲労感や倦怠感、首・肩のこり、頭痛、不眠などが見られ、心の症状としては、意欲や興味の減退、抑うつ気分、不安などが挙げられますが、これらの症状だけで自分がうつと自覚できる人は少なく、一時的な不調と考えてしまう人も多いようです。

うつ病であるかどうかの診断では、抑うつ気分、何をしても興味が持てないという2点が特に注目されます。上記の症状に加えてこの2点に該当する場合は、自分はうつではないかと考え、自覚を持つことがうつ病克服の第一歩です。

うつ病の克服のために、薬をきちんと服用しよう

内因性うつという典型的なうつ病では治療をしなくても治る場合がありますが、ほとんどの場合、内服薬を用いてしっかりと治療をしなければ、うつ病を克服することは難しいです。

うつの治療では数種類の薬が処方されるため、「多すぎる」「面倒」と感じる人もいるかもしれませんがこの薬を指示通りにきちんと内服することがうつ病を克服する近道となります。

うつ病の治療薬である抗うつ薬は、脳内の神経細胞から放出されたセロトニンやノルアドレナリンが、再び神経細胞に取り込まれないようにおさえる働きがあり、これによって神経細胞と神経細胞の間のセロトニンやノルアドレナリンが増えるように働きます。その結果、意欲や活力が心や身体にスムーズに伝わるようになります。

休むことも、うつ病克服につながる

うつ病の克服には、治療薬の服用以外にももう1つ重要な克服の方法があります。それは休息をとることです。

精神的にも身体的にもストレスがかかった状態では、十分に治療の効果が発揮できません。特に女性では家事や育児などがあり、家にいてもゆっくりと休むことが難しい場合もあります。責任感がある人では休むことが悪いことと思ってしまい、なかなか休むことができない人もいます。その場合には入院をして休息をとるというのも選択肢の1つとなります。

また、ただ休むだけではなく、自分に合ったストレス解消法を見つけて実施していくことも効果的です。休息をとりつつストレスを解消し、心と体の両面をしっかりと休ませましょう。

信頼できる人に相談できる環境を整えよう

うつ病を克服する上で欠かせないのが、相談できる環境です。家族や友人など信頼できる人にいつでも相談できる環境を整えておきましょう。特に家族は友人よりも気を遣わずに悩みを相談できる相手にあたるかと思いますので、小さなことでも相談してみることで、うつ病の克服につながっていきます。

また、身近にそのような人がいないという場合にも1人で悩まず、医師をはじめ、さまざまな団体などの専門機関を積極的に活用しましょう。具体的には保健所や日本産業カウンセラー協会、精神保健福祉センターが活用できます。外に出るのも億劫であるという場合には、いのちの電話という相談機関があるため、こちらも活用してみましょう。

おわりに:うつ病の克服にはうつを自覚することが重要

うつ病は早期発見をし、その後適切なケアをしていけば、その分回復が見込めます。まず、うつ病かも?と思ったら専門の医療機関を受診しましょう。その結果うつ病と診断された場合は、きちんと処方された薬を飲む、適度に休む、誰かに悩みを相談するなどのケアを地道に続けていくことが大切です。

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