アナフィラキシーショックになると、どんな症状が出てくるの?

2018/7/9 記事改定日: 2019/6/12
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ハチに刺されるときの話などと併せて、「アナフィラキシーショック」という言葉を聞いたことはありませんか?では、アナフィラキシーショックになると、具体的にどんな症状が起きるのかはご存知でしょうか。対処法と併せて解説していきます。

アナフィラキシーショックの特徴は?

アナフィラキシーとは、食べ物やハチ刺され、薬物やラテックスと呼ばれる天然ゴムなどさまざまな物質が原因で引き起こされる急性のアレルギー反応が全身に及んだものです

もっとも多い症状では、じんましん、赤み、かゆみなどの皮膚の症状があり、次にくしゃみ、咳、息苦しさなどの呼吸器の症状と、目のかゆみやむくみ、くちびるの腫れなどの粘膜の症状があらわれます。他にも腹痛や嘔吐などの消化器の症状、血圧低下などの循環器の症状もあり、これらの症状が短時間で全身にあらわれるのが特徴です。

そして急激な血圧低下に伴い、意識を失うなどのショック症状に陥るケースも1割程度みられ、このように重篤な症状をアナフィラキシーショックと呼びます

アナフィラキシーショックでは、最悪の場合死に至ることがあり、1~2時間以内の死亡例でいえば、むくみで気道が塞がれ、窒息してしまうことが死因となることが多いです。

原因となるアレルゲン

アナフィラキシーを引き起こす代表的な原因(アレルゲン)には次のようなものが挙げられます。

  • 鶏卵
  • 小麦
  • 乳製品
  • そば
  • ピーナッツ類
  • ラテックス(天然ゴム)
  • 薬剤(ペニシリンなどの抗生剤、造影剤など)
  • 粉塵
  • 農薬などの化学物質

アナフィラキシーの症状が出るまでの時間はどのくらい?

アナフィラキシーの症状が出るまでの時間は、アレルゲンや患者によって異なります。

例えば、ハチ刺されや薬物によるアナフィラキシーの場合は、アレルゲンが体内へ直接入るため、症状が早く出る傾向があります。一方、食べ物によるアナフィラキシーは、消化されて吸収されるまでに時間がかかるので、ハチ刺されや薬物に比べて症状が出るまで時間がかかります。

アナフィラキシーですべての人が心肺停止に陥るわけではありませんが、心停止までの平均時間は薬物で5分、蜂刺されでは15分、食べ物で30分といわれています。

なお、ラテックスによる症状の発症は数分以内ですが、ラテックスアレルギーのある人は、フルーツのアレルギーも持っている可能性があります。これはラテックス・フルーツ症候群と呼ばれ、リンゴ、バナナ、ニンジン、セロリ、栗、キウイ、メロン、パパイヤ、トマトなどの食べ物によって引き起こされます。
アナフィラキシーを引き起こすラテックスに含まれるタンパク質と、これら果物に含まれるタンパク質の構造が似ているために起こると考えられており、ラテックスアレルギーとあわせて注意する必要があります。

アナフィラキシーショックで倒れたときの対処法は?

まず、食べ物が原因でアナフィラキシーの症状が出た場合は、口の中からすぐ出して、水でよくゆすぎます。手で触った場合も、すぐに水で洗い流しましょう。

ハチに刺されて毒針が残っている場合は、無理に取り除いたり、毒を出すためにつまんだりすると逆効果です。すぐに医療機関を受診して、医師による適切な処置・治療を受けてください。

アナフィラキシーの症状が治まっても、24時間以内に再び症状があらわれることもあります。医師に相談して、しばらく様子を見るようにしましょう。

なお、このほかの対処法として、エピペンなどと呼ばれるアドレナリン自己注射薬を、太もも前外側の筋肉に注射して対処する方法もあります。
基本的には自分で注射しますが、患者自身が打てない場合は、救急救命士やアナフィラキシーを起こした環境にいる他の誰かが、人命救助のために注射することも少なくありません。

しかし、あくまでもショック症状を一時的に緩和するための注射薬ですので、応急処置として使った後、すぐに医療機関を受診しましょう。

アナフィラキシーショックのサイン

アナフィラキシーショックは緊急に適切な処置を行わないと死に至ることもある恐ろしいものです。アナフィラキシーショックの時には次のような症状が現れますので、気づいた場合にはすぐに救急車を要請し、できるだけ早く治療を行えるようにしましょう。

  • 全身に広がる蕁麻疹やかゆみ
  • 呼吸が苦しく、息ができない
  • 喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒューとした呼吸音)
  • めまいや立ちくらみ
  • 意識消失

おわりに:アナフィラキシーショックの症状があらわれたら、すぐに適切な処置を

アナフィラキシーの特徴は、短時間で急速に症状があらわれることです。発症してから24時間以内は再び症状が起こる場合もあるので、症状が改善していたとしても、再発しないか慎重に確認する必要があります。アナフィラキシーショックによって死に至る事例もあるので、最悪の状態に陥らないためにも、適切な処置に努めましょう。

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