記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/16 記事改定日: 2019/6/27
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
よく「蜂は2回刺されると危ない」といいますが、蜂毒アナフィラキシーショックは2回以上刺されると必ず発症するものなのでしょうか?また、刺されたときはどのような対処をすればいいのでしょうか?
蜂毒アナフィラキシーショックとは、蜂に(通常2回以上)刺された際に起こる、全身性のじんましん・血圧低下・呼吸困難・意識障害などのショック状態のことです。
場合によっては死亡することもあり毎年20人ほどが命を落としているといわれています。
2回目以降の蜂に刺された場合は、体内にあるヒスタミンと呼ばれる物質の作用により、アナフィラキシーによる全身症状が起こります。
ただし、初めて刺された場合でも、蜂毒に含まれるヒスタミンの量が多かった場合ひどいアレルギー症状を起こすこともあるので注意しましょう。
蜂毒は、刺されてからの反応時間が短いことが特徴とされており、大抵の場合約15分以内には症状が現れます。反応時間が短いほど重症のケースが多く、アナフィラキシーショックを起こすこともあります。アナフィラキシーショックになると約15分ほどで心停止に至るといわれているため、速やかな治療が不可欠です。
特に医療機関から距離のある山間部で蜂に刺された場合は、救急車で搬送されるまでに時間を要するため、アナフィラキシーショックで死亡する確率が高まります。
蜂に刺されても、蜂毒アレルギーを持っていない人の場合は、刺された部分の軽い痛みや腫れなどの局所症状ですみ、数日ほどで消えていきますが、蜂毒アレルギーのある人が2回目以降刺されると、約10~20%の割合でじんましんなどの全身の皮膚症状・嘔吐・浮腫・呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こします。そしてそのうちの数%の人は意識障害や急激な血圧低下などの生命に関わる症状を引き起こすとされています。
特に短期間に2回刺された人は、アナフィラキシーショックが起こりやすくなるため、注意が必要です。また、子供が重症のアナフィラキシーショックを起こす確率は1%程と言われています。
蜂に刺されたときは、アナフィラキシーショックの有無に関わらず、以下のような行動を迅速に行うようにしましょう。
アナフィラキシーショックは、症状が現れてから30分以内に対処することが重要だとされています。そのため、蜂に刺された後に以下の症状が起こったときは、ショック状態になる前に素早く処置を行いましょう。
もともと蜂は自分達の巣を守るために、外敵に攻撃する習性がありますが、特に人を刺す可能性が高いのは、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類といわれています。
以下の場所で蜂に刺されることが特に多いといわれていますので、注意しましょう。
ハチの毒に対するアレルギーの有無は、抗体検査や皮膚検査などを行うことで調べることが可能です。
抗体検査は血液検査によってハチの毒に対するIgE抗体量を測定するものです。アレルギーがある場合にはIgE抗体量が増加しますので、抗体量を調べることでアレルギーを引き起こす可能性を判断することが可能です。
一方、皮膚検査は、実際にハチの毒を使用して蕁麻疹などのアレルギー反応が生じるか調べる検査です。薄めたハチの毒を皮下に注射して反応を調べる「皮内テスト」やハチの毒を皮膚に垂らして軽く引っ掻いたときの反応を調べる「スクラッチテスト」などがあります。
ハチに刺された覚えがない人でも、ハチの多い場所に行くときなどは前もって上記のような検査を行い、ハチに刺された際に起こりうるアナフィラキシーなどへの対処を備えておくようにしましょう。
蜂毒アナフィラキシーショックは、約15分ほどで心停止に至るともいわれる恐ろしい事態です。なるべく蜂の住処には近づかず、もし刺されてしまった場合はご紹介した対処法を速やかに行い、救急車の到着を待ちましょう。