記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
がんになったときの治療法と言えば、手術でがんになったところを取り除く手術療法と、薬を使った化学療法をイメージしますよね。
そこで今回はがんになったときの化学療法について、その内容や副作用、治療で辛いときの対処法などをまとめてご紹介していきます。
がん治療で一般的に用いられる「化学療法」とは、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖や転移を抑えてがんを治療する方法のことです。
具体的には、抗がん剤を内服薬または点滴・注射などで体内に行き渡らせ、体液の循環によるがん細胞の広がりや、すでに発生したがん細胞の働きを抑える治療法になります。
手術や放射線療法に比べてより広い範囲のがん細胞にアプローチできる治療法で、主に転移や血液・リンパ液のがんの治療に使われています。
また、がんの種類によっては化学療法が治療の第一選択肢となることもありますが、基本的には手術や放射線療法と組み合わせて、補助的な治療として行われることが多いです。
化学療法に用いられる抗がん剤は、基本的には増殖スピードの早いがん細胞に作用するものですが、健全な細胞でも分裂スピードが速いものにも作用してしまいます。
例えば、血液細胞や口腔の粘膜、胃腸粘膜、毛根の細胞などは分裂スピードが速いため、化学療法による抗がん剤の影響を受けやすいです。
その結果、化学療法の副作用として、以下のような症状が起こるといわれています。
化学療法によって起こる副作用の種類や程度には個人差が大きいですが、上記のうち特に吐き気・嘔吐、脱毛、白血球減少は起こりやすい副作用として知られています。
また、化学療法への副作用の発現時期にもある程度の法則性があります。以下に、投与開始日から28日までの副作用の出方についてまとめましたので、あわせて参考にしてください
抗がん剤の副作用で消化器官の不調や口内炎が治まらないため、化学療法の治療期間中は食事を摂ることが難しくなる患者も少なくありません。
ここからは、化学療法の副作用がひどくても食事を摂れるように、患者本人と周囲ができる食事内容の工夫を2つご紹介していきます。
まずは患者本人がもともと好きだった味・食べ物を用意して、本人が無理なく食べられる量を口にしましょう。
ただし、温かい揚げ物・煮物・煮魚・焼き魚などにおいが強い料理には吐き気を催すこともあるので、冷ましてから食べるのがおすすめです。
好きな食べ物もなかなか受け付けられないようなら、胃腸への負担が少ない消化の良いものや、効率よく栄養摂取できる市販の栄養補助食品を試してみましょう。
消化の良い食べ物ならおかゆや雑炊、柔らかく煮込んだうどん、くたくたにした野菜スープなどがおすすめです。
また、栄養補助食品には液状・ゼリー状・ビスケットなどさまざまなタイプがあるので、いろいろ試して本人が食べやすいものを選んでください。
副作用で口内炎がひどくなると、食べ物を口に入れるだけでも痛くなるため、温かいものや固形物を食べるのが難しくなることもあります。
そんなときは、冷たくて口当たりの良い以下のような食品が食べやすくておすすめです。アイスクリーム、シェイク、ゼリー、プリン、シャーベット、冷たい茶碗蒸し、卵豆腐、絹ごし豆腐などを試してみましょう。
手術や放射線療法とあわせて行われる化学療法は、がんへの有効な治療方法の一種です。しかし化学療法で用いられる抗がん剤にはさまざまな副作用が伴うこともわかっており、治療中は吐き気や嘔吐、口内炎、脱毛などとの闘いが必要になります。
特に口内炎の副作用によって食事が摂れなくなる患者さんは少なくありませんが、食事の内容を工夫し、無理せず少しでも栄養を摂るよう心がけましょう。