がんで放射線治療をする際に考えられる副作用は?どうやって乗り切る?

2018/7/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

がん治療において手術、化学療法と並んで知られる放射線療法は、体に放射線を当てることでがん細胞が増えないようにする治療法です。
今回はがん治療のうち放射線療法について、治療によって考えられる副作用や、副作用への対処法を解説していきます。

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がんの放射線治療で考えられる副作用は?

がんの放射線治療による副作用は、身体のうち放射線を当てた部位を中心に起こります。
副作用のほとんどは放射線治療の最中か直後に現れますが、症状の出方や発現時期には個人差があるため、人によっては数か月・数年たってから現れることもあるようです。

一般的に想定される放射線治療の副作用としては、以下のようなものがあります。

  • 疲労感、倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 皮膚の赤み、かゆみ
  • 脱毛

放射線治療の副作用はどうやって乗り切る?

ここからは前項で述べたがんの放射線治療によって想定される副作用に対して、有効な対策をそれぞれご紹介していきます。

疲労感、倦怠感への対策
治療から数週間たてば自然の解消することがほとんどですので、疲労感や倦怠感を感じたら無理せずに休み、治療期間中は過度な運動は避けてください。
食欲不振への対策
腸など消化器官に放射線のダメージを受けていると想定されますが、正常細胞の回復のためにも、健康なときよりも多くの栄養・カロリーを摂ることが推奨されます。
食事を少量・複数に分けて食べる、少量で高カロリーが摂取できる栄養補助食品を摂るなど食事の方法や内容を工夫して、しっかり食事するよう心がけてください。
吐き気、嘔吐への対策
無理なく食べられるものを少しずつでも食べるようにし、口に食べ物を入れられないほど症状がひどい場合は、医師に吐き気止めの薬をもらえないか相談してみましょう。
下痢への対策
おかゆやよく煮たうどん、野菜スープなど消化の良い食事を摂り、こまめに水分補給をしてください。また、医師の指示に従い整腸剤・下痢止め薬を飲んでも良いでしょう。
皮膚の赤み、かゆみへの対策
ひどい日焼けに似た状態なので、できるだけ患部を刺激しないようにしましょう。
必要以上に触らない、衣服も刺激が少なく患部に触れにくいものに変え、入浴時もぬるめのシャワーと低刺激石鹸の泡だけで洗うなど対策してください。
脱毛への対策
日常においては医療用のウィッグなどを着用して心理的ショックを和らげ、医師にいつ頃また髪が生えてくるのか聞いておくと良いでしょう。
また、再び髪が生えてくるまでは直射日光を避けて保湿を心がけるなど、頭皮を保護するよう努めてください。

放射線治療中の過ごし方は?

副作用として体調や見た目の変化を伴うがんの放射線治療ですが、その多くは通院で行われるため、治療中の体調管理には自分で気を配る必要があります。
放射線治療中はしっかりと食事を摂る、こまめに休養する、皮膚や頭皮の状態に気を配るなど、意識的に自分をいたわるようにしてください。

以前なら何ともなかった活動で異様に疲れたり、放射線照射をした皮膚が過敏になって普段使っている香水や化粧品が使えず、ストレスを感じることもあるでしょう。

しかし、早くがんを治すためにも、放射線治療中の無理は禁物です。
治療中に少しでも身体的・心理的苦痛や変化を感じたら、まず少し休んで様子を見るなどして、自分の状態に気を配ってください。

おわりに:放射線治療にはさまざまな副作用が。決して無理せず、身体をいたわって乗り切ろう

手術で臓器や組織を取り除くことなくがん治療ができる放射線治療は、がん患者にとって重要な治療の選択肢の1つです。しかしがん治療への効果が期待できる反面、皮膚や頭皮、消化器官などに放射線による副作用が出ることでも知られています。副作用の多くは治療後に軽減されますが、治療中は特に体調に配慮して過ごすことが重要です。

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