がんの手術でするのはどんなこと?手術さえすれば治る?

2018/7/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腫瘍になっている部分を取り除く手術は、がん治療のなかでも代表的な方法の1つです。しかし実際に手術経験のない人にとっては、がん手術の内容もイメージしづらいですよね。
今回はがん治療における手術について、具体的な内容や手順、有効性を解説していきます。

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がんの手術ってどんなことをするの?

がんの手術療法とは、がんになっている臓器・組織を、周囲のリンパ節や正常組織と一緒に取り出し、今あるがんと今後の転移を防ぐための治療方法です。がん治療の第一選択肢となりやすい治療法ですが、すべての種類・ステージのがんに有効なわけではないため、主に以下の条件を満たす場合に実施されます。

  • 白血病やリンパ腫など、血液・体液のがんでないこと
  • がん細胞がある程度の範囲にかたまっていること
  • リンパ節や他の臓器・組織へのごく小さな転移が確認されないこと

以下からは、がんを手術療法で治療することのメリット・デメリットをまとめてご紹介しますので、確認してください。

がんの手術療法のメリット
  • まだ転移していないがんであれば、寛解・完治させやすい治療法である
  • 化学療法や放射線治療に比べ、副作用の懸念が少ない
がんの手術療法のデメリット
  • 切除によって一部臓器・組織の機能が失われる可能性がある
  • 身体を開いて手術するケースが多いため、回復に時間がかかる

がんの手術ってどんなふうに行われるの?

ここからはがん手術の手順について、事前準備から手術終了までの流れに沿って、具体的に解説していきます。

がんの手術:事前準備

手術台に移動したら、患者の体には医師や看護師の手によって心臓や呼吸の状態を監視するためのモニター機器や、麻酔に必要な管などが取り付けられます。

機器の取り付け・配置が終わると、身体の位置を固定して手術する箇所を消毒し、手術箇所以外を覆うように大きな布がかけられます。

がんの手術:麻酔

事前準備が終わったら、麻酔科医によって患者に麻酔がかけられます。麻酔は点滴、またはガスで導入するのが一般的です。

がんの手術:手術開始

体を切開し、がんになっている臓器・組織と、転移予防のためにその周辺組織とリンパ節を切除します。切除が終わったら、手術した場所の機能や見た目がもとの状態に近くなるよう再建し、縫合すれば手術は完了です。

がん手術にかかる時間は、がんのある場所や手術の方法によってもかわってきますが、だいたい数時間~10時間超かかるケースが多いです。

なお、術後は体力・免疫力ともに低下していますし、手術痕の痛みもあります。
無理して動いたりせず、できるだけ安静にして回復に努めるようにしましょう。

手術さえすればがんは治る?

手術によって体内のがんをすべて取り除けた場合なら、がんが寛解・完治する可能性が高いですが、すでに別の場所に転移していた場合は手術だけで治すのは難しいです。

手術は局所療法であるため、切開した部位のがんだけしか取り除けません。検査で見つかったがんを取るために手術をしても、別の場所に検査では確認されていなかったがんがあった場合は、術後も引き続き治療する必要がでてきます。

おわりに:手術はがんの有効な治療法だが、それだけで治るとは限らない

がんの治療法のうち、手術は第一選択肢となりやすい有効なものです。しかしがんの種類やステージ、転移の有無によっては効果的でないケースもあるため、残念ながら手術をしたからといって必ずがんが治るというわけでもありません。

また、がんの治療法として手術を行うかどうかは、医師の判断で決定されます。いざというときのために、がん手術のメリット・デメリットについてきちんと理解しておきましょう。

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