記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
がんの発症には遺伝やストレス、喫煙、食生活など、さまざまな要因が関係していると考えられています。そこでこの記事では、一般的に「がんの原因になる」といわれているものを紹介しつつ、どのように関係しているのかを詳しく説明していきます。
まずは遺伝やストレスが、がんとどのように関係しているのかを説明します。
多くのがんは偶発的であるものの、一部には「遺伝的要素」が関係しているがんもあります。そのがんを「遺伝性腫瘍症候群」といい、具体的には以下のようなものがあります。
なお、家系的にがんが多い場合であっても、必ずしも、自分ががんの遺伝子を引継いでいるわけではありません。また、がんの遺伝子を引継いでいるかどうかは、外見だけでは判断ができない、発症有無だけでは区別が難しいとされています。
ある研究で「自覚的ストレスとがん罹患との関連について」という調査結果が発表されました。その結果のポイントをまとめると以下の通りです。
この調査によってストレスががんの発症に関係している可能性が高いということがわかりました。ただし、現時点ではまだ「ストレスによるがん発症のメカニズム」はわかっていません。この点に関しては、今後さらに研究が進められていくでしょう。
がんの発症リスクを高める要因として、よく「喫煙」が挙げられます。そこで喫煙とがんの関係について解説していきます。
がん罹患者のうち男性で約30%、女性で約5%は喫煙が原因と考えられています。さらに喫煙は肺がんだけでなく、食道、胃、肝臓、膀胱、子宮頸のがんなどにも関係しています。
喫煙によってがんを発症する理由は、タバコの中にたくさんの発がん性物質(多環芳香族炭化水素類など)が含まれているからです。その発がん性物質は喫煙によって肺まで到達して、そこから血液を通じて全身へと運ばれてしまいます。その結果、それぞれの臓器を傷つけたりして、がんの要因になってしまうのです。
受動喫煙とは本人が喫煙をしていなくても、周りの人がタバコを吸うことで、その煙を吸ってしまうことをいいます。このタバコの煙にも発がん性物質が含まれており、受動喫煙によってがんを発症するリスクが高くなるということがわかっています。また、受動喫煙によるがん発症プロセスは、喫煙者ががんを発症するプロセスと類似していることもわかっています。
飲酒や食事といった食生活もがんの発症に関係するので、それぞれ確認してみましょう。
飲酒は肝臓がんをはじめ、口喉、食道、大腸がんなどの発症リスクを高くすると知られています。これは体内に摂取されたお酒(エタノール)はアセトアルデヒドに分解され、このアセトアルデヒドががんの原因になると考えられているからです。さらに、お酒には免疫の働きを抑制する働きなどもあることが示唆されているため、がんを発症しやすくなる可能性も指摘されています。
食品の中には、がんの発症リスクを高めるものがあります。特に牛や豚などの赤肉・加工肉は大腸がんの発症リスクを高くすることがわかっています。ただ、確実にリスクになると分かっている食品は赤肉や加工肉くらいで、リスクになる食品は少ないとされています。
一方、食品の中には、がんの発症リスクを低くするものもあります。中でも発症リスクを下げる効果が高いとされるのは食物繊維を多く含む食品です。
なお、一般的には野菜・果物も良いとされていますが、今のところ「野菜・果物が発症リスクを下げる作用がある」旨は報告されていません。ただ、他の病気を予防するためにも、野菜・果物の摂取は大切だとされています。
ウイルス感染や細菌感染もがんの原因になるとわかっており、実はがん罹患者の約20%が感染によるものと考えられています。また、日本人に限っていえば、特に以下の3種類による感染が大半を占めるといわれています。
なお、感染によるがん発生メカニズムには「直接的なもの」と「間接的なもの」があり、これらは感染するウイルスや細菌によって異なります。ただし、がん自体が人から人へと感染するわけではないので、その点は誤解をしないように注意しましょう。
がんの発症にはさまざまな要因が関係しており、特に日本人だと喫煙と感染が大きな割合を占めています。日常生活を見直してがんを予防したり、定期的にがん検診を受けて早期発見に努めたりするといいでしょう。