記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
特に日本人は猫背気味の人が多いといわれ、姿勢を改善すべき人もたくさんいます。でも、そもそも姿勢をよくするとどんなメリットがあるのでしょうか?また、「姿勢をよくすると痩せる」というのは本当なのでしょうか?
特に子供の頃は、保護者の方に「姿勢をよくしなさい!」などと注意された経験があるかと思いますが、そもそもなぜ姿勢をよくする必要があるのでしょうか。主なメリットをご紹介します。
正しい姿勢を続けていると体幹や筋力が安定し、骨盤の位置が平行になり、背筋が伸びて内臓が正しい位置に保たれるため、代謝機能が上がりやすくなるといわれています。
逆に姿勢が悪くなると、筋肉や靭帯が固まって動かしにくくなり、血流が滞ることで代謝機能が落ちやすくなるとされます。
姿勢をよくすると体内の血流がよくなるため、冷え性や肩こりが改善しやすくなったり、また老廃物が排出されやすくなることで便秘解消効果も期待できます。
逆に姿勢が悪いと、首や肩の筋肉が緊張し続けるために血流が悪化し、筋肉に疲労が蓄積され、凝りを感じやすくなります。
正しい姿勢は横から見ると、肩と骨盤の位置が一直線上に位置しています。この状態を作るには、鎖骨を真横へと開くようにして胸を広げる必要があるため、自然と呼吸がしやすくなり、自律神経が整いやすくなるとも考えられています。自律神経が整うと、体だけでなく精神的なバランスも安定しやすくなるとされます。
私たちの体内の骨や内臓は、あらゆる筋肉や靭帯が支えてくれていますが、姿勢が悪くなると筋肉や骨に負担がかかることで、痛みや不調が出やすくなります。しかし、良い姿勢を続ければこうした負担が減り、不調を感じることが減るようになります。
いわゆる猫背の状態だと、前かがみのために肺が十分広がらず、深い呼吸ができません。そのために脳に行き渡る酸素の量が減り、ぼーっとしやすくなるといわれています。
しかし、姿勢をよくすると脳への酸素供給量が増え、また交感神経が優位になるために、集中力が高まりやすくなると考えられています。
先ほどお伝えしたように、姿勢が悪いと内臓の位置が下がったりして、代謝が下がります。すると内臓の機能が本来よりも低下するために、脂肪燃焼しにくい状態になるといわれています。つまり姿勢をよくすれば、その分代謝が上がり、痩せやすくなる効果が期待できます。
また、良い姿勢をキープするのには意外とエネルギーが必要です。試しにお腹に入れて背筋を伸ばして見ると、なんとなく実感できるかと思います。国内で行われた実験によると、1日30分背筋を伸ばした座った人は、ゆったり座った人と比べて消費カロリーがおよそ4kcal多くなるという換算になったそうです(体重60kgの場合の試算)。
たった4kcalの差ではありますが、1週間、10日と継続すればその分消費カロリーの差はどんどん開き、痩せやすい体につながることが期待されます。
そもそも良い姿勢とは、真正面から見たときに膝が真正面を向いており、骨盤や肩、左右の耳の高さが水平になっている状態のことです。
横から見たときでいうと、天井から一本の糸で引っ張られているように姿勢がスッと真っ直ぐであり、首から腰にかけて緩やかなS字カーブを描いています。そして膝の外側と外くるぶし、骨盤や肩、左右の耳の後方、頭頂が一直線上になっている状態です。
姿勢をよくすると、冷え性や便秘が改善したり、仕事への集中力が上がったり、さらには代謝が上がって痩せやすくなったりとさまざまなメリットが期待できます。ぜひこの機会にご自身の姿勢を鏡でチェックして、正しい姿勢を習慣づけるようにしてみてはいかがでしょうか。