がん細胞ができるのはなぜ?手術後も抗がん剤治療が必要な理由は?

2018/7/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

日本では、がんは男女ともに死亡原因の1位といわれています。では、なぜがん細胞が身体にできてしまうのでしょうか。今回は正常な細胞とがん細胞の違いや、がん細胞ができる仕組みなどをご紹介します。

正常な細胞とがん細胞の違いは?

人間は、約60兆個の細胞からできているといわれています。正常な細胞は身体の状態などで増殖したり、増えることを中止することができます。
たとえば、ケガをした場合には傷口を塞ぐために細胞が増殖しますが、傷が良くなれば細胞の増殖は止まります。このようにその時の状況に応じて、細胞の増殖をコントロールできるのが「正常な細胞」です。

一方、がん細胞は体からの指示を無視して増え続けます。また、正常な細胞はそれぞれ特定のはたらきをもつ細胞になる「分化」と呼ばれるはたらきをもっていますが、がん細胞は決まった役割をもっていません。そのため、過剰に細胞分裂を繰り返して増殖し大きくなっていくと考えられています。

またがん細胞は、他の臓器に移って新しいがん細胞を作る「転移」や周囲に広がっていく「浸潤」を起こし、正常な細胞が本来必要とする栄養をもとり込み身体を弱らせる作用があることもわかっています。

がん細胞ができるのはなぜ?

身体にある約60兆個の細胞のうち、毎日約1%程度の細胞が消失し、新しい細胞を作り出しているといわれています。このとき行う細胞分裂で、細胞の設計図といわれるDNAを毎日莫大な数コピーしていますが、このコピーにミスが生じる場合があります。これを突然変異といい、ある遺伝子に引き起こされた場合は細胞が増え続ける「がん細胞」になるといわれています。

このコピーミスは毎日身体の中で起きており、1,000~2,000個、学説によっては5,000個ものがん細胞がコピーミスによって作り出されていると考えられています。しかしリンパ球などの免疫細胞が日々作り出されるがん細胞を消滅させているため、私たちは健康に暮らすことができてます。

しかし、煙草や大気汚染など、何らかの原因でコピーミスが大量に作られたり、免疫細胞のはたらきが低下してしまうと、がん細胞が残ってしまう場合があります。この残ってしまったがん細胞が細胞分裂を繰り返して大きく広がっていくと、CTや内視鏡検査などで発見されると「がん」という診断を受けることになります。

ただし1つのがん細胞が検査で発見されるまで大きく成長するには、およそ10~20年の月日がかかるといわれています。一般に高齢者のがん患者さんが多いのは、月日とともに突然変異によるコピーミスによってがん細胞の数自体が蓄積されていくうえに、免疫細胞の機能が低下するためと考えられています。

手術でがん細胞を取ったのに、抗がん剤治療が必要なのはなぜ?

手術でがん細胞を切除した場合でも、手術では取り切れない目に見えないような小さいがんが残っている可能性があります。また放射線治療などでがんを小さくした場合でも、身体の別の場所に同じがんが現れることもあります。
さらに場合によっては、取り切れなかった小さながん細胞が他の場所にがん細胞として現れるなどといった転移がみられることもあります。

このような再発や転移などを予防するために、手術後のできるだけ早い段階で抗がん剤による治療を始めることが、がんを確実に治療するための方法のひとつと考えられています。

おわりに:がん細胞は、免疫細胞が消滅させている!

身体の中で毎日できるがん細胞は、免疫細胞によって排除されています。しかし何らかの原因でがん細胞が残ってしまった場合に、がん化してしまうと考えられています。少しでも身体に良い生活を送ることが、がんにかからないような身体をつくることにつながっているといえるでしょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

がん(94) がん細胞(2) 転移(7) 抗がん剤(22) がん化(1) 免疫細胞(1) 浸潤(1)