がんでむくみが出るのはなぜ?効果的な解消法はあるの?

2018/7/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

がんは身体にさまざまな影響を及ぼします。その中のひとつが「むくみ」です。今回は、がんの治療による身体のむくみや解消法などをご紹介します。

がんでむくみが出る原因は?

がんでむくみがみられる原因としては、主にリンパ浮腫とがんの進行によるものが挙げられます。身体の中には血管の他にも「リンパ管」という管があります。リンパ管は皮膚のすぐ下にあり、全身に網目状に張り巡らされています。このリンパ管の中には白血球などを含んだリンパ液が流れ、リンパ管は脇の下や首の付け根、また足の付け根などで合流する「リンパ節」に向かって徐々に太くなっています。

リンパ節は身体の免疫機能で重要な役割をもっており、細菌やウイルスなどを見つけた場合には直接攻撃するなどして身体を守っているといわれています。しかしがんになるとリンパ節で細菌やウイルスなどに対処できない場合があり、リンパ節をすり抜けて身体のあらゆる部位でがんになる転移がみられることがあります。これは、がんがリンパ節を介して全身に広がる性質をもっているためです。

そのため、このような転移を防ぐために、手術ではがんの周りにあるリンパ節を切除することがあります。リンパ節を切除すると近くにリンパ節の代わりとなるものができますが、リンパ節と比べて細いうえにはたらきも弱いため、リンパ液の流れが滞り、リンパ浮腫になるのです。またリンパ浮腫によるむくみは、がんの転移などがリンパ節に起きた際などにリンパ管が圧迫され、流れが滞ることでもみられます。

リンパ浮腫は子宮がんや前立腺がん、また皮膚がんなどの治療で起こりやすいことが知られています。また発症の時期には個人差があり、治療後すぐに症状がみられる人もいれば、治療後10年以上経ってから発症する場合もあります。

リンパ浮腫はがんの治療をした全員が発症するわけではありませんが、一度発症すると治りにくいことがひとつの特徴です。早い段階では皮膚がつまみにくい、皮膚の張りがみられるなどの症状がみられます。さらに症状が進むと腕や足が動かしにくい、だるさを感じるなどの症状がみられることもあります。ただし一般的にリンパ浮腫は自覚症状もあまりみられず気づきにくいため、日頃から皮膚の様子などをチェックしておくことが必要となります。

がんによるむくみはどうすれば解消できる?

むくみの対処法には、主に以下のようなものが考えられます。

日常生活の中で気を付ける

まず、食事内容や体重管理を行うことが大切です。バランスの良い食事を心がけ、一般的にむくみやすいといわれるアルコールなどは避けましょう。そのうえで標準体重を維持できるように、体重の変化に注意してください。また、重いものを持つことでむくみがひどくなる場合があるため気を付けましょう。

仕事や長時間の移動などで同じ姿勢をとることは身体の負担となり、むくみやすくなるといわれています。適度に休憩をとって身体を動かすなど、できるだけ同じ姿勢でいることは避けましょう。また締め付けの強い衣類や靴下などは避けた方が好ましいでしょう。

スキンケアを行う

かゆみなどを起こさないように、皮膚を清潔に保ちましょう。スキンケアはやさしく丁寧に行うことがポイントです。また保湿剤などを使って皮膚のバリア機能を保つことは、細菌感染のリスクを抑えることにつながるといわれています。市販の尿素やコラーゲン配合のものを使用しても良いですが、もし肌に合わない場合には病院に相談して処方してもらいましょう。また皮膚を傷つけることを避けるために、爪は短く切っておくことが好ましいでしょう。そのうえで、刺激の強いマッサージは控える、虫刺されやペットによる引っかき傷には注意するなどの配慮が必要です。また外出の際は日焼け対策をし、過度の日焼けをしないようにしましょう。

リンパ浮腫の場合、普段の生活での注意点を守り、セルフケアを行う、また圧迫療法など専門医の治療なども行う複合的な治療が推奨されています。必要に応じて医師に相談し、自分の症状に合った治療を進めていきましょう。またがんの再発や転移によるリンパ浮腫の場合にはがんの治療を最優先に考え、医師と相談の下、リンパ浮腫の治療にあたることが望まれます。

おわりに:がんによるむくみは、早期発見が重要!

がんによって発症するむくみは、一度現れると改善が難しいといわれています。しかし早期に発見し、セルフケアを行うことで症状の悪化を抑えることができるかもしれません。今回ご紹介した解消法を参考に試してみましょう。

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