記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻水や鼻づまり、長く続くくしゃみなど、アレルギー性鼻炎は辛いものですね。鼻が詰まっていると呼吸がつらい、頭がぼーっとするなどの症状も出ることがあり、日常生活に支障をきたしかねません。
そんなアレルギー性鼻炎の症状は、風邪の初期症状と非常によく似ています。この記事では、アレルギー性鼻炎の症状について、また、風邪との見分け方についてご紹介します。
アレルギー性鼻炎の主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。これら全てに共通することは、症状が長く続くということです。数回〜数十回連続するくしゃみや、さらさらと流れ続ける鼻水はアレルギー性鼻炎の代表的な症状です。
くしゃみや鼻水は、アレルギー性鼻炎にも風邪にも共通する特徴です。しかし、アレルギー性鼻炎の場合はくしゃみは数回〜数十回と長く続き、鼻水はさらさらと水っぽく流れ続けます。
また、くしゃみや鼻水の回数によって、重症度を診断します。くしゃみか鼻水のどちらか多い方で判断し、連続するくしゃみは1回と数えます。
程度 | 診断基準 |
---|---|
軽症 | 5回以下 |
中等症 | 6〜10回 |
重症 | 11回〜20回 |
最重症 | 21回以上 |
基本は軽症・中等症・重症の3つの区分で判断しますが、花粉症で特に重篤な症状の方は最重症という区分に診断されることがあります。
アレルギー性鼻炎では、鼻で呼吸が困難になるほどの鼻づまりが起こることもあります。
程度 | 診断基準 |
---|---|
軽症 | 口呼吸は必須ではないが、鼻づまりを感じる |
中等症 | 鼻づまりが強く、口呼吸を1日のうちに何度か必要とする |
重症 | 鼻づまりが非常に強く、口呼吸をしている時間が長い |
最重症 | 1日中ずっと鼻づまりが続いており、鼻呼吸は非常に困難である |
鼻づまりもくしゃみ・鼻水と同じように、基本は軽症・中等症・重症の3つの区分で判断しますが、花粉症で特に重篤な症状の方は最重症という区分に診断されることがあります。
軽症・中等症・重症・最重症それぞれの目安として、日常生活への支障度も設定されています。
程度 | 診断基準 |
---|---|
軽症 | 仕事にほとんど支障がない |
中等症 | 軽症と重症の中間程度 |
重症 | 仕事が手につかないほど苦しい |
最重症 | 全く仕事ができない |
軽症の場合は仕事を含め、日常生活に大きな支障がないので放っておいても問題はありませんが、中等症以上の状態になると仕事の効率や生産性が大きく損なわれる恐れがあります。
アレルギー性鼻炎は風邪と似た症状が出ることは先ほどお話しましたが、それでは風邪の症状として代表的な微熱や咳は、アレルギー性鼻炎でも発症するのでしょうか?
アレルギー性鼻炎と風邪では、熱の出方に大きな違いがあります。
アレルギー性鼻炎 | 風邪 |
---|---|
|
|
アレルギー性鼻炎の場合、熱はほとんど出ることはありません。風邪の場合、体内に侵入したウイルスや細菌を増殖させないため、また免疫細胞の活動に適した温度にするために発熱します。このため、風邪では発熱することは珍しくありません。
ただし、38℃を超える高熱の場合、風邪ではなくインフルエンザなどの重い疾患である可能性があります。高熱が出た場合は自己判断せず、医師の診断を仰ぎましょう。
アレルギー性鼻炎と風邪では、咳の出方にも少し違いがあります。
アレルギー性鼻炎 | 風邪 |
---|---|
出ることがある程度 | 数日間続く |
咳が起こるのは、外からのほこりや煙、ウイルスなどを取り除くためと、気道に溜まった痰を排出するための2つの意味があります。前者の場合はアレルギー性鼻炎の場合も風邪の場合も起こることがありますが、後者の場合は風邪の主要な症状です。
アレルギー性鼻炎と風邪は、どのようなチェックポイントで見分けたら良いのでしょうか?
これまで見てきたことをまとめ、以下のような項目に注目すると見分けがつきやすいです。
症状 | アレルギー性鼻炎 | 風邪 |
---|---|---|
鼻水 |
|
|
鼻づまり |
|
|
くしゃみ | 数回〜数十回連続して出る | 続いても2〜3回と短い |
その他 |
|
|
このように、アレルギー性鼻炎と風邪の症状は似ていますが、よく見るとたくさんの違いがあります。病気の自己診断は危険ですが、これらのチェックポイントを参考に、風邪の疑いが強いなら内科、アレルギー性鼻炎の疑いが強いなら耳鼻咽喉科、といったように、初めにかかるべき診療科を決めるのは非常に有効です。
アレルギー性鼻炎でも微熱や咳の症状が出ることもあります。しかし、アレルギー性鼻炎だけを発症している場合、その症状はほとんど重くなることはありません。
もし、微熱とはいえない37℃を超える高熱が出る、咳が長く続く、痰が絡むなどの症状が出た場合は風邪の疑いが強いです。無理をせず、最寄りの医療機関を受診しましょう。