記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/17 記事改定日: 2019/4/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
排尿痛や尿道付近の不快感など、さまざまな症状を引き起こす「前立腺炎」。この前立腺炎は、市販薬で治すこともできるのでしょうか?また、病院で処方してもらえる薬にはどんなものがあるのでしょうか?
前立腺炎の種類には、急性前立腺炎と慢性前立腺炎の2種類があります。
急性前立腺炎は、主に尿道から入ってきた細菌が原因とされます。排尿後に熱感や痛み、残尿感や頻尿などの症状が現れます。血尿や尿道から膿が出ることもあるでしょう。高熱が続くなどする場合には入院が必要となります。
慢性前立腺炎は、さまざまな原因によって引き起こされます。症状が悪化する主な原因は次の6つが代表的です。
症状は排尿時や射精時の痛みや不快感、尿道や陰嚢と肛門の間の違和感や痛み、恥骨部や膀胱部から睾丸にかけての不快感などです。どの症状も「なんとなく感じる」といったようにあいまいです。
前立腺炎の症状が改善するまでには数か月かかることが多く、根気よく治療を続けなくてはいけません。
前立腺炎は原因や症状によって治療方法が違います。自己判断で安易に市販薬を使ってしまうと、治らないばかりか症状を悪化させてしまうこともあるでしょう。少しでも早く治すためにも、病院を受診して適切な治療を行ってください。
まず、急性前立腺炎では、原因となる細菌を特定してもっとも効果のある抗生物質を使用します。炎症が強く高熱が出て絶対安静となった場合には入院することもあります。熱が下がらない場合には、解熱剤も使用することがあるでしょう。
なお、尿の出が悪いときには尿道カテーテルを挿入します。一般的に、1週間ほどで症状は落ち着きます。ただし、抗生物質の使用期間は一般に長くなることが多いです。
慢性前立腺炎の治療では、アセトアミノフェンや、非ステロイド系消炎鎮痛剤を使います。ほかに、神経障害疼痛で処方されるプレガバリンや抗うつ剤も使用されることがあります。また、症状が落ち着いてくると漢方薬もよく処方されます。
これら1つの薬で効果が出ることもありますし、複数の薬の組み合わせで効果が出ることもあります。症状や効果を見ながら適切な薬を使っていくことが大切です。
慢性前立腺炎は、病院を1回受診して処方された薬を飲めばすぐ治るという病気ではありません。さまざまな原因や症状に合わせた薬を見つけ出すのに時間がかかることもあります。
時間をかけてゆっくりと治す病気なので、薬を飲んでも効果が実感できない場合は主治医に遠慮なく伝えましょう。薬を変えながら様子を見ていくのは、慢性前立腺炎ではよくあることです。ただし、服薬を勝手にやめることは絶対にしないでください。症状が長引いたり、症状が悪化する原因になってしまいます。
慢性前立腺炎は基本的には投薬治療が行われますが、十分な効果がないことも少なくありません。
このような場合には、前立腺内に炎症を促すサイトカインなどの物質や老廃物が溜まっている可能性があるため、それらの排出を促すため射精の頻度を高める生活指導や前立腺を刺激するマッサージが行われることがあります。
いずれも、自己判断で行うのは危険ですので、必ず医師の指示のもとで行うようにしましょう。
慢性前立腺炎を予防するには次のような対策が有用です。
前立腺炎には急性と慢性があり、それぞれで治療法は異なります。そのため、自己判断で市販薬を使うと、症状が長引くだけでなく悪化させる可能性もあります。前立腺炎かなと思ったときには、泌尿器科などの専門医を受診して適切な治療を行えるようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。