褥瘡の原因はシーツのシワや栄養不足って本当?

2018/7/18 記事改定日: 2019/12/25
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

褥瘡が、シーツや寝巻きのシワが原因になることをご存知でしょうか。この記事では、褥瘡の原因と予防方法、回復を早めるためのポイントについて解説します。

褥瘡ができる原因は?

褥瘡(じょくそう)は、長時間同じ体勢が続くことで同じ部位に圧力がかかり続けてしまい、皮膚が赤くなることをいいます。初期のうちは赤くなったりヒリヒリする程度で治まりますが、長く続くと褥瘡部位が壊死して皮膚が崩れてきます。

人は通常、寝ているときでも無意識下で寝がえりをうつなどをして身体を動かし、同じ場所に圧力がかからないようにしています。病気や怪我などで自分で体を動かせない人は寝がえりをうつことができないので、皮膚の同じ場所に(特に骨突出部)長時間圧力を受け続けることになります。

圧力がかかり続けると血流が悪くなり、皮膚や皮下組織、筋肉などに十分な酸素や栄養を送れなくなってしまう結果、褥瘡ができてしまうのです。

褥瘡はシーツのしわが原因でできる?

褥瘡は、衣服やシーツのたるみがあると、その部分に同じ圧力がかかり続けることになるためできやすくなります。褥瘡を防ぐためにも、体位変換のときには衣服やシーツのたるみにも気をつけましょう

ただし、シーツをピンと張り過ぎると、身体とマットレスとの接触面積が少なくなるため沈む距離が浅くなり、骨が突出している部分への圧力が増す「ハンモック現象」が起きやすくなるので注意してください。

 

褥瘡を見つけたらどうすればいい?

褥瘡の治療では薬物療法の他に、褥瘡の原因(圧迫、ずれ、全身状態、栄養状態の悪化など)を排除することが重要です。

急性期の治療では、傷の保護・湿り気を保つ・毎日観察することが重要になるため、剥がしやすく透明なドレッシング材(被覆材)の使用が適しているといわれています。

塗り薬を使うときには、傷の保護・感染の抑制・滲出液や膿の吸収・水分補給などそれぞれ異なる作用があるため、傷の状態に合った薬を使用することが大切です。いずれにしても、褥瘡の状態で使い分けが必要になる場合があるため、必ず医師に確認しましょう。また、塗り薬を塗布した後は、滲出液が多い場合はガーゼで覆い、滲出液が少ない場合は透明フィルムで覆うなどして保護してください。

食事療法

塗り薬や褥瘡の原因の排除などの治療とあわせて、栄養をしっかりと摂ることも褥瘡の回復を早めるために重になってきます。以下のような栄養素を積極的に摂取するようにしましょう。

アルギニン
大豆製品
亜鉛
タラコ、ココア、抹茶
ビタミンC
果物、野菜、芋類
ビタミンA
バター、卵、緑黄色野菜
カルシウム
牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜
鉄分
赤身の肉や魚、貝類、緑黄色野菜

食事では、どんな工夫をすればいい?

褥瘡の原因の一つに、食事量の低下や偏りによる栄養不足が挙げられます。褥瘡になりやすい方には、上記で紹介した栄養を多く含むメニューを選びましょう。

また、一般的に褥瘡になるやすいのは寝たきり状態の方が多いため、物を飲み込む機能が低下している場合がほとんどです。無理に固形物を食べさせると、むせて誤嚥性肺炎を発症する恐れがあります。食事はそれぞれの状態に合わせて細かく刻んだり、とろみをつけたり、ペースト状にすりつぶすなど工夫しましょう。

さらに、食事量が低下して十分な栄養が摂れないときは、栄養補給剤を活用するなど適切な対策を行う必要があります。どのように栄養状態を改善していくかをご家族で判断するのは難しいこともありますので、医療機関で相談することをお勧めします。

肥満が褥瘡のリスクを高める?

上で述べたように、褥瘡は同じ部位に長時間にわたって圧がかかり、血行が悪くなることによって引き起こされます。このため、肥満の人は体重が重い分、かかる圧も大きくなるので褥瘡になりやすいと考えられます。

また、肥満の人は皮膚深層部である真皮のコラーゲン繊維の断裂や減少、炎症性の変化が生じやすいことが報告されており、皮膚自体も褥瘡を生じやすい状態であると考えられています。さらに、糖尿病など褥瘡のリスクとなる病気の発症リスクも高く、それらの病気が褥瘡の発症・悪化に関与していることも少なくありません。

寝たきりなど褥瘡のリスクが高い人は、食事内容などに十分注意して肥満を予防し、可能であればリハビリを行って適度な筋力・関節運動を行うようにしましょう

おわりに:体位変換のときはシーツのシワにも注意し、食事にも気をつかってあげよう

褥瘡は、衣服やシーツのシワによる偏った圧力や、長時間同じ体勢でいることなどが原因となり起こります。褥瘡を改善するためには、衣服やシーツのシワを無くすことや、体位を変えること、塗り薬による治療、食事療法などを行うことが必要です。医師や看護師にやり方の指示を仰ぎ、適切な処置を行いましょう。

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