寝ている時間が長い人の褥瘡の好発部位はどこ?

2018/7/17 記事改定日: 2019/5/31
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

褥瘡はどの部分に発生しやすいのでしょうか?また、寝ているときに起こりやすいのは何故なのでしょうか?褥瘡の好発部分について解説していきます。マットレスなどの寝具選びのコツの紹介もします。

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寝ているときの褥瘡の好発部位は?

褥瘡は、床・寝具・ベッドなどで皮膚が長時間圧迫されることで起こるため、寝ている時に起こりやすいとされています。ただし、以下のように、寝る時の姿勢によって好発部位が異なります。

寝方別の好発部位

仰向け
肩甲骨部、仙骨部、踵部、後頭隆起など
横向き
大転子部、外顆部、骨盤(腸骨稜)、肘頭外側部、耳、肩など
腹臥位
鼻、恥骨部、足先など
座位
仙骨部など
側臥位
耳介部、肩峰突起部、肋骨部、腸骨部、膝関節部、大転子部、踵骨部など

骨が突き出ている部分は外部からの圧力が大きくなるため、褥瘡が起こりやすくなります。特に、高齢の女性は脂肪が少ない傾向があるため、褥瘡が発生しやすいです。

特に発生しやすいのは、座位や仰向けの姿勢の両方で圧迫される仙骨部(骨盤の中央に位置する手のひらくらいの大きさの逆三角形の骨のあたり)といわれています。

寝ていることが多い人の褥瘡予防法は?

褥瘡は、長時間身体に外部からの圧力を受けることにより起こるため、日中は可能な限り離床していることが望ましいです。ただ、寝たきりの人など、離床が困難なときは、以下の方法で褥瘡を予防しましょう。

離床が難しい場合の予防法

  • ベッドシーツのシワのある部分に寝かせない
  • シーツをこまめに整えてシワを防ぐ
  • おむつなどはこまめに交換して、皮膚の蒸れや湿っている状態を防ぐ
  • 2時間おきに体位変換を行う

褥瘡予防に最適なマットレスがあるの?

床ずれ防止効果のあるマットレスには、以下の2タイプあります。

「圧力切替型」エアマットレス

自力で寝返りをうてない人や、寝たきり状態の人に適しているマットレスです。複数の空気パッドを膨張・収縮させることにより、身体への圧量を分散させる効果があります。

ただし、使用時はマットレスとは別に、エアポンプを設置するスペースが必要です。車椅子の操作や方向転換をするために必要なスペースを確保したうえで、エアポンプの設置を検討をしましょう。

「体圧分散式」マットレス

自力で離床したり寝返りをうてるが、ベッドで長時間過ごすことが多い人に適したマットレスです。広い面で身体を支えることにより、体圧を分散させる効果があります。

マットレスを選ぶ際のチェックポイント

マットレスの厚みの確認
マットレスの厚みがありすぎると必要以上に深く沈み込んでしまうため、突出した部分(肩、腰など)への圧力が上昇します。購入する際は、厚みをよく確認しましょう。
底付きの確認
寝た状態で骨が当たりやすい部位のマットレスの下に手を差し込んで、指を曲げて底付き状態になっていないか確認しましょう。2.5㎝ほどで骨に当たる感触があれば問題ありません。指を曲げることができない、指を曲げても骨に触れない場合は、マットレスの内圧が低すぎたり、高すぎたりする可能性があります。
押し返しの確認
マットレスの反発力が強すぎると褥瘡になりやすいです。押し返しがないものを選びましょう。できれば、反発力を調整できるものを選ぶようにしてください。

褥瘡ができたときの対処法

寝たきりの人や寝ている時間が長い人など、寝床を離れることが難しい人は褥瘡ができるリスクが高くなります。褥瘡は早期段階で発見して、できるだけ早い時期に治療や対策を講じることが大切です。

このため、褥瘡のリスクが高い人は、臀部や踵など褥瘡を発症しやすい部位をこまめにチェックすることが大切です。また、万が一褥瘡ができた場合には、以下のような処置を行いましょう。

  • 吸水パッドなどで患部を覆う
  • 患部への除圧を徹底する
  • 患部は不潔にならないよう適宜ぬるま湯で洗う
  • シーツや寝具があたらないようタオルやクッションなどで体勢を整える
  • できるだけ早く医師に相談し、適切な治療を受ける

おわりに:就寝環境を整えて、褥瘡を予防しましょう

褥瘡は、皮膚が長時間圧迫されることにより起こります。座っているときや仰向けで寝ているときに圧迫されやすい仙骨部に好発する傾向があるほか、脂肪が少ない高齢の女性に多くみられるといわれています。

褥瘡を予防するためには、シーツや衣服のシワを取ることはもちろんですが、床ずれ防止効果のあるマットレスを選ぶことが大切です。また、寝具はやわらかさや圧力などを確認しながら慎重に選んでいきましょう。

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